2006 Fiscal Year Annual Research Report
チロシン特異的ホスファターゼSHP-2を介した成長軟骨制御機構の解明
Project/Area Number |
17591086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 範行 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (10379076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 正也 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (10281130)
道上 敏美 大阪府立母子保険総合医療センター研究所, 環境影響部門, 部長 (00301804)
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Keywords | SHP-2 / 成長軟骨 / 成長障害 / Noonan症候群 / LEOPARD症候群 |
Research Abstract |
(a)軟骨細胞分化の検討 軟骨細胞のすべての分化段階を再現できるマウス軟骨細胞由来のATDC5細胞に野生型SHP-2およびNoonan症候群、LEOPARD症候群患者より同定したSHP-2変異をアデノウイルスベクターにより強制発現後、軟骨細胞初期分化マーカーである転写因子sox9のmRNAをreal-time PCRで定量した。野生型SHP-2の強制発現によりsox9 mRNAの発現は増加し、この効果は機能獲得型のD61N変異、および機能喪失型(優位阻害型?)のQ510E変異いずれによっても増強された。また、sox9により転写活性が促進されるcol2alプロモーター下にルシフェラーゼを挿入したベクターを用いたレポーターアッセイでも同禄に、野生型SHP-2によりルシフェラーゼ活性の増加が認められ、この効果はD61NおよびQ510E変異により増強された。以上よりNoonan症候群、LEOPARD症候群ではSHP-2変異により軟骨細胞のsox9の発現量が増加し、正常な軟骨分化・成長を阻害する可能性が示唆された。 (b)シグナル伝達系路の検討 軟骨細胞では線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の下流でMAPK活性化によりsox9の発現が増加するとの報告がある。また、SHP-2はMAPKの陽性調節因子として知られているため、ATDC5細胞に野生型、およびD61N、Q510E SHP-2をアデノウイルスベクターにより強制発現後、FGF2添加によるMAPK活性を詳細に検討したところ、低濃度(50pg/ml)でMAPK活性のD61N変異による増強、Q510E変異による抑制が認められた。以上より(a)に示したsox9発現増強はSHP-2変異によるMAPK活性の変化では説明できないことが明らかとなり、MAPK以外の経路探索のためsubstrate-trapping SHP-2ベクターを作製した。
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