2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児遷延性感染症の病原菌におけるバイオフィルム形成能の検討と新規関連遺伝子の同定
Project/Area Number |
17591098
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西 順一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40295241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 裕一 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (90237884)
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Keywords | 腸管凝集性大腸菌 / EAEC / バイオフィルム / TolC / dispersin / 付着因子 |
Research Abstract |
腸管凝集性大腸菌enteroaggregative Eseheriehia coli(EAEC)のバイオフィルム関連因子の検討-外膜排出ポンプTolCの役割- EAECの外膜表層に存在するdispersin(Aap)の外膜排出ポンプAatAは、大腸菌の異物排出蛋白TolCのホモログである。TolCがAatAと同様にAapを分泌するかどうか、またEAECの病原性に関与しているかを検討する目的で、tolC欠損株とaatA・tolC両欠損株、さらにそのcomplemente株を作成した。Aap分泌能は、培養上清のAapをWestern blotで検討。付着試験は、24穴ポリスチレンプレートで培養後、浮遊細胞と底部の付着菌体を回収し,OD_<600>で定量化した。Transwell assayでは,透過膜を介して欠損株と野生株を共培養し相互作用を検討した。さらに走査電子顕微鏡で変異株の形状を観察した。その結果、tolC欠損株は、直接Aap分泌に影響を与えなかったが,tolC欠損株およびaatA・tolC欠損株ともに,培養中の凝集性が明らかに低下した。付着試験では,tolC欠損株の浮遊細胞数は野生株に比べて有意に多く,付着菌数は有意に少なかった。Complement株の凝集付着性は,野生株と同程度に回復した。Transwell assayでは,tolC欠損株の付着能低下が野生株との共培養で回復した。走査電顕では、変異株において線毛による菌の凝集の程度が低下していた。TolCはEAECの凝集付着を促進し,可溶性の凝集付着因子を外膜外へ排出し、線毛機能を修飾している可能性がある。TolCが凝集付着に関与するという報告はこれまでなく,EAECの病原性に関与する新たなTolCの役割が明らかになったと考えられる。
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