2006 Fiscal Year Annual Research Report
RSウイルス感染に対するToll-like receptorの感染防御機構の解析
Project/Area Number |
17591102
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永井 和重 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50347168)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 裕幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80217348)
|
Keywords | ウイルス / 感染症 / 免疫学 |
Research Abstract |
平成17年度の本研究において、ヒトToll-like receptor 3(TLR3)発現COS-7細胞がコントロール細胞に比べてヒトRSウイルス(RSV)感染を制御する作用があるというデータを得た。そこで平成18年度においては、TLR3のリガンドである2本鎖RNA(poly(I:C))をRSV感染細胞に作用させ、抗RSV作用が現れるかを検討した。 24ウェルプレートにHeLa細胞を2x10^5/ウェルで培養し、翌日に以下の3つのプロトコールに従いpoly(I:C)添加及びRSV感染実験を行なった。プロトコールA:poly(I:C)(20μg/ml)を培養上清に添加し、24時間後にRSV(Long株)をMOI0.5で感染させ、48時間後に検体(培養上清及び感染細胞)を採取;プロトコールB:RSV接種1時間後にpoly(I:C)を添加し47時間後に検体を採取;プロトコールC:RSV感染24時間後にpoly(I:C)を添加し24時間後に検体を採取。検体中の培養上清よりRSVウイルスRNAを、感染細胞よりRSV N蛋白遺伝子発現をreal-time RT-PCRにて定量的に検出した。また感染細胞におけるインターフェロン(IFN)-β mRNA発現も同様に定量した。 結果は、全ての実験プロトコールにおいて培養上清中のRSV量はpoly(I:C)添加群では非添加群と比較して有意に減少していた。また感染細胞のRSVN蛋白遺伝子発現量はpoly(I:C)添加群で明らかに減少していた。興味深いことに、同じ添加群でIFN-β遺伝子発現も減少していた。poly(I:C)による抗RSV作用はRSV感染前でも後でも現れることが明らかとなった。更にこのpoly(I:C)の抗RSV作用は、poly(I:C)がIFN-βを誘導した結果として現れているものではない可能性が示唆された。
|