2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体の再生過程における糸球体内皮細胞の役割に関する検討
Project/Area Number |
17591103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00305369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045682)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20171217)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80192318)
磯目 正人 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00363747)
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Keywords | 胎児 / ヒト糸球体 / FB21 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
【目的】糸球体は、V期(vesicle stage)、S期(S-shaped body stage)、C期(capillary loop stage)、M期(maturing stage)の4つの発達段階を経て成熟する。糸球体、特に糸球体内皮細胞の発達過程を明らかにするために、剖検により得られた胎児および乳児腎を用いて、週数ごとの前糸球体発達段階の割合の変化を検討した。また、一方で内皮細胞障害の指標として用いられているFB21を使用して、糸球体内皮細胞の成熟過程を評価した。 【方法】対象は、福島医科大学付属病院で施行された剖検例で、腎疾患が原因にて死亡した症例を除いた胎児30人、乳児10人、および大人10人とした。胎児および乳児剖検例は在胎週数または月齢により分け、これらの剖検腎組織を用い、成熟糸球体と糸球体内皮細胞の形成過程を検討した。FB21による免疫染色を施行し、糸球体発達度は、各群の全糸球体に占めるV期、S期、C期、M期の割合にて評価した。 【結果】1)胎児腎および乳児腎の糸球体の中で、V期の占める割合は胎生19週以前で一番高かった。その後、週数が経つにつれ、V期の割合は徐々に低下したが、乳児期においても残存していた。S期、C期の割合は胎生20週から28週頃まで各々20%前後を占め、胎生32週以降になると、徐々に低下し、出生後には消失した。M期は胎生20週頃より出現し、以後、経時的に増加した。 2)胎児腎および乳児腎の糸球体におけるFB21の染色度は、胎生25週以降の糸球体内皮細胞で反応し、胎生40週にはほぼ成人と同様の染色性を有した。 【結語】ヒト糸球体は胎生20週頃からその成熟が開始し、以後、V、S、C、M期を経て段階的に進展するものの、乳児においても一部で未熟糸球体が残存することが判明した。内皮細胞の形成は胎生28週頃から始まり、胎生36週前後で成熟することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)