2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳の髄鞘形成障害の発症機序の解明-ミュータントマウスと磁気共鳴による拡散画像法
Project/Area Number |
17591104
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 付属病院, 助教授 (70251006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 明 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (90241819)
新田 尚隆 産業技術総合研究所, 人間福祉部門, 研究員 (60392643)
沼野 智一 首都大学東京, 健康福祉学部, 助手 (10399511)
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Keywords | 髄鞘形成 / shivererマウス / 磁気共鳴画像法 / ミエリン塩基性蛋白 / MBP / 拡散画像 |
Research Abstract |
本年度はマウスのMRIの計測機器を作成調整し、shiverer mouseに対して応用し、ヒトとマウスのモデルに関して超微細構造を含めた病理学的評価をおこなった。 1)マウスの磁気共鳴画像法の開発 マウスの鮮明な拡散画像を得るために、磁場の均一性と高い信号強度が得られる、直径27mmの円形コイルを2個組み合わせたサドルコイルの開発をおこなった。動物用磁気共鳴装置(ブルカー社BIOSPEC BMT24/40 2.4Tesla)を用い、拡散画像法として既に独立行政法人産業技術総合研究所でラットに対して用いられたパルスシーケンスを調整し、マウスMRIに応用した。shiverer mouseのうちnull mutant(mbp-/-), heterozygous mutant(mbp+/-), wild typeのマウスに対してそれぞれ画像を計測した。null mutant(mbp-/-)ではT1強調画像、T2強調画像において、脳梁の髄鞘形成障害がみとめられた。heterozygous mutant(mbp+/-)、wild typeではT1強調画像、T2強調画像において髄鞘形成に明らかな異常はみられなかった。heterozygous mutant(mbp+/-)、wild typeにおける拡散画像でも両者の差異は明らかではなかった。 2)shiverer mouseの病理学的検索 shiverer mouseのうちnull mutant(mbp-/-), heterozygous mutant(mbp+/-), wild typeについて、血液を採取しMBP遺伝子をPCR法で検出し遺伝形質を評価した。さらに、生後14,21,35,42日のマウスの脳の病理学的評価を行った。昨年度におこなった一般病理学的検索、免疫組織化学的検索のほかに、電子顕微鏡を用いた超微細構造に関する検討をおこなった。null mutant t(mbp-/-)ではheterozygous mutant(mbp+/-), wild typeに比較して髄鞘形成された神経線維の数は少なく、髄鞘の厚みも薄かった。 以上から、ヒトのモデルである18番染色体長腕欠失(18q-)症候群と同様にheterozygous mutantとwild typeには有意な差異は見出せなかった。以上から、shiverer mouseは髄鞘形成障害のモデル動物として有用と考えられた。
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