2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591110
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
嶋 緑倫 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (30162663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 嘉彦 奈良県立医科大学, 医科部, 助教 (80347559)
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医科部, 助教 (50326328)
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Keywords | 第VIII因子 / 凝固波形 / トロンビン生成 / 組織因子 / 止血モニタリング / 血友病A |
Research Abstract |
平成19年度の研究では凝固波形解析による凝固機能評価をトロンビン生成測定と比較検討した。トロンビン生成測定は血漿サンプルを用いて外因系トリガーとして遺伝子組み換え型組織因子(rTF)あるいは内因系トリガーとしてエラジン酸を添加し、Ca^<2+>および合成リン脂質存在下に合成蛍光発色基質を用いて測定した。トロンビン生成反応をリアルタイムにモニタリングしてトロンボグラムを作成し、トロンビン生成開始までの時間(Lag time)、トロンビン生成ピーク(Peak Thrombin)、総トロンビン生成量(ETP)などのパラメーターも算定した。組織因子(TF)をトリガーとした場合、血友病A患者血漿と正常血漿間に大きな差がみられなかった。また、微量な第VIII因子を反映することは困難であった。一方、エラジン酸を使用した場合、各パラメーターは患者血漿中の第VIII因子レベルに鋭敏に反応したが、Lag timeも大きく変動した。トロンボグラムでのLagtimeはトロンビンバースト開始までの時間であり、エラジン酸のみの測定結果は内因系のみを極端に活性化した測定系と考えられた。そこで、内因系および外因系の両方のトリガーを添加した測定系で検討したところ、Lag timeは正常血漿も血友病A患者血漿も差がなかったが、Peak ThrombinやETPは第VIII因子の濃度依存性に変化した。また、低濃度の第VIII因子も反映した。凝固波形解析で第VIII因子活性がく1IU/dlの完全重症パターンの患者血漿の凝固速度および凝固加速度は大きく低下したが、トロンビン生成パラメーターとも相関していた。以上より凝固波形解析は出血部位で露出されたTFに結合した活性型第VII因子から始まる生理的なトロンビン生成過程を反映し、様々な疾患の凝固機能評価法としてすぐれていることが判明した。
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