2005 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクターを用いた血友病Aの治療法の開発と改良
Project/Area Number |
17591112
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松下 卓 自治医科大学, 医学部, 助手 (20343444)
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Keywords | AAV / 血友病A / FVIII |
Research Abstract |
第VIII因子の重鎖/軽鎖を2つのAAVベクターによって発現させる方法を開発している.この方法の問題点のひとつが第VIII因子重鎖(FVIIIHC)の発現量が低く,両者の発現量がアンバランスなことであった.これを改善するために,FVIIIHCベクターのCAGプロモーターの一部を切除し,3'側にWPREを付加した.この新しいFVIIIHC発現ベクターとCAGプロモーターをもつFVIIILC発現ベクターを用いて,In vitroでFVIIIの発現量と活性を測定した.両者ともCAGプロモーターを使用したベクターと比較して,活性は約1.3倍とわずかな上昇を認めた.またこの両遺伝子を発現するベクターをFVIII因子欠乏マウスに筋注すると非常に高い中和抗体が検出され、その原因も両遺伝子の発現のアンバランスにあると考えた。そこでFVIIIのBドメイン欠如型の遺伝子(4374bp)を使用する1ベクタースタイルのAAVベクター作製を計画した.サイズが小さいプロモーターとしてパルボウイルスB19のP6プロモーター(約340bp)に着目した.3'側を100bp削除した240bp長のプロモーターと340bp全長のものと、コントロールとしてcmvプロモーターをそれぞれもつ、EGFP発現ベクターを作製した。これを293細胞(胎児腎細胞由来),N2a細胞(神経芽腫由来)にトランスフェクションしてEGFP発現量をFACSにて解析して比較した。293細胞では340bp長のプロモーターはcmvプロモーターとほぼ同等で、N2a細胞では約半分の発現を示した.240bpのプロモーターは340bp長のものに対してそれぞれの細胞で約80%の活性を示した.AAVベクターはITRも含めて5kb以下でないとベクター作製効率が非常に悪化するため,240bpのp6プロモーターを用いたBドメイン欠如型FVIIIのAAVベクターを作製中である。これを用いて筋注による高い中和抗体価の原因が実際に重鎖・軽鎖のアンバランスに起因するのかを検討する。
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