2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児がんの易罹患性に関わるSNPs等遺伝子多型の同定とその臨床応用を目指す研究
Project/Area Number |
17591116
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
嶋田 博之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80265868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 喜美子 国立がんセンター研究所, 分子腫瘍学部, 主任研究官 (00161414)
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Keywords | 小児がん / 易罹患性 / SNP / DNA修復遺伝子 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究は,小児がんの易罹患性に関わる候補遺伝子およびその多型・変異の同定、およびそれらの遺伝子変異の機能解析を行い発癌との関連を調べることを目的とする。本年度までに小児白血病51症例の正常B細胞株を解析して、43症例に染色体数増加、転座、切断などの染色体不安定性を認めることを明らかにした。これらの染色体異常は、2歳未満の白血病症例にとくに頻度が高く、染色体不安定性と白血病発症時期との関連が示唆された。さらに、小児白血病51症例および健常人60例のB細胞株においてATM、TP53、CHK2遺伝子の全翻訳領域の塩基配列を調べ、健常人には認めないgermline変異をATM 5例、TP53 2例、CHK2 3例に認めることを明らかにした。このうち、1例のATM変異(R720H)は父親由来であり、父親B細胞株は放射線に対する高感受性を認めたことから、白血病発症への関与とともにこのATM変異のみでは白血病発症には十分でないことが示唆された。さらに、小児白血病29症例のB細胞株を用いてDNAマイクロアレイによる発現プロファイルを行い、成人白血病患者や健常人には見られない76のアポトーシス関連遺伝子の発現異常が存在することを明らかにした。発現の低下する遺伝子として、アポトーシス関連遺伝子であるGAS2、GCSP8、TNFRSF10B、ストレス応答遺伝子であるRPS6KA5、DNAミスマッチ修復遺伝子であるMHS5が小児白血病易罹患性との関連において重要であると考えられた。そこで、GAS2の発現が低い小児白血病3症例のB細胞株におけるカンプトテシン、UVおよび放射線に対するアポトーシス抵抗性を検討したところいずれもアポトーシスへの抵抗性を示したのに対し、GAS2発現異常のない健常人、成人白血病患者のB細胞株は正常にアポトーシスが誘導された。この結果は、GAS2の低発現によりアポトーシス抵抗性を獲得したことが、これらの小児白血病患者において易罹患性の要因となった可能性を示唆する。
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