2006 Fiscal Year Annual Research Report
児童・思春期のこころの問題に対する脳科学的解明とバイオフィードバック治療の開発
Project/Area Number |
17591124
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (30258454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喜一郎 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 教授 (20140642)
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
石橋 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (20168256)
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Keywords | 脳科学 / バイオフィードバック / 心身症 / こころ / 思春期 / 近赤外線光トポグラフィー / NIRS |
Research Abstract |
本年後は以下の項目について明らかにした。 「こころ」を客観的に評価する手法は行動分析や心理分析に委ねられる事が多かった。医学部の分野では放射性同位元素を用いたSPECT, PETや、fMRIなど侵襲的あるいは拘束を余儀なくされる環境下でしか施行できなった。今回、我々は非侵襲的脳機能イメージングである近赤外線光トポグラフィーで心身症の代表格である摂食障害患者の前頭葉機能を評価した。対象はDSM-IVで診断された10名の小児期摂食障害患者(平均年齢14歳)と年齢をマッチさせた12名の正常対照群で行った。前頭葉機能を計る課題としては語想起課題を用いた。15秒間に任意のひらがなではじまる単語をできる限り多く発語してもらった。光トポグラフィー装置を前頭部に装着し、課題中の酸化型、還元型、全ヘモグロビンの濃度変化を統計学的に比較検討した。平均発語数は2群間で有意差は認めないものの、波形パターンは、対照群が課題とともに酸化型、全ヘモグロビンが増加し、課題終了とともに低下する反応を示したのに対し、摂食障害群では課題中も課題語も酸化型、還元型、全ヘモグロビンの波形は平坦に近く反応性が認められなかった。統計学的に24チャンネル中、6チャンネルに波形パターンの差が確認された。原因として、摂食障害児における脆弱な血管反応性、異なる脳部位の活性化、神経細胞系の機能低下などが推測された。長期の飢餓や食行動の異常が認知機能に与える影響を反映しているものと思われた。今回は障害に直接関連しない課題であったが、今後は課題として障害に直接関連した課題、例えば1)高カロリーのデザート、2)スマートな女性の被写体、3)幸福そうな母子の微笑みの写真等を提示し、脳循環代謝の変動を測定する予定である。
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