2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童・思春期のこころの問題に対する脳科学的解明とバイオフィードバック治療の開発
Project/Area Number |
17591124
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
永光 信一郎 Kurume University, 医学部, 講師 (30258454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喜一郎 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 教授 (20140642)
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
石橋 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (20168256)
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Keywords | 脳科学 / バイオフィードバック / 心身症 / こころ / 思春期 / 近赤外線光トポグラフィー / NIRS / SDQ |
Research Abstract |
本年後は以下の項目について明らかにした。 幼児から学童を含む小児期のこども達が交通外傷や自然災害などにともなう事故や,犯罪や虐待などの事件に巻きこまれる事がある。外傷体験の慢性曝露(虐待)は,海馬体積や視覚中枢を司る後頭葉の体積の減少をきたす事が知られている。以上の様に形態的な異常は明かにされているが,機能解析に関する報告は少ない。今回,我々は脳血流シンチおよび抑制性神経系を反映するベンゾジアゼピンレセプター結合能を視覚的に捉える事のできるイオマゼニールSPECTをおこなった。対象は性被害患者1名,性虐待患者1名,および身体的虐待患者2名でおこなった。性虐待患者を除く3名において,前頭部領域のイオマゼニール結合の低下を認めた。ROIを解析し,対照群との比較およびストレス反応を示すPR-CRS(Parent Report of Child's Reaction to Stress)との相関を検討する。 次に我々は非侵襲的脳機能イメージングである近赤外線光トポグラフィーで心身症の代表格である摂食障害患者の前頭葉機能を評価した。対象はDSM-IVで診断された10名の小児期摂食障害患者(平均年齢14歳)と年齢をマッチさせた12名の正常対照群で行った。課題として障害に直接関連した課題,例えば1)高カロリーの食事,2)スマートな女性の被写体,3)幸福そうな母子の微笑みの写真等を提示し,脳循環代謝の変動を測定した。予想に反して対照群で,1),2)の課題で前頭部の有意な血流増加を認めた。一方で摂食障害群では3)の課題において前頭部の有意な血流増加を認めた。この事は思春期摂食障害児は,一般的に成人期発症にみられる摂食障害者の肥満恐怖とは別に母子愛着関係の過程でなんらかの障害をきたした可能性が示唆された。 また,共同研究で現在増え続けている軽度発達障害児の行動特性をみるために子どもの困難さ(difficulty)のみならず,強み(strength)も評価できる質問紙SDQ(Strength and Difficulty Questionnaire)の標準化を試みて論文にした。
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Research Products
(3 results)