2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫におけるBMP応答性とDANおよびp53ファミリー遺伝子等の機能的役割
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17591128
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中村 洋子 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 研究員 (60260254)
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Keywords | 神経芽腫 / p53 / 細胞増殖抑制 |
Research Abstract |
目的:神経芽腫はp53遺伝子の変異がほとんど認められない腫瘍の一つである。しかし、最近の報告では、神経芽腫の約20%にp53の変異が存在することが判った。これまでに我々は神経芽腫細胞株30種類のうち6種類において機能消失したp53の変異を認めた。神経芽腫由来のSK-N-AS細胞ではN-mycの増幅および1p lossがないにも関わらず多剤耐性を示した。そこで、SK-N-AS細胞におけるp53の構造ならびに機能と多剤耐性獲得との関連性について検討を行った。方法および結果:SK-N-AS細胞を細胞質および細胞核に分画しウエスタンブロット解析を行ったところ、分子量の小さなp53が細胞質に限局して発現していることが判明した。RT-PCR、PCRおよびアレーCGH法によってSK-N-AS細胞のp53の構造を検討した。その結果、核移行配列を含むC末端を欠損している可能性ならびにC末端のホモ欠失が示唆された。次に、SK-N-AS細胞に野生型p53および変異型p53を過剰発現させたところ、野生型p53は細胞質と細胞核に発現が認められたが、変異型p53は核には認められなかった。また、野生型p53を過剰発現させた細胞では、p53の15番目のセリンのリン酸化、p21^<WAF1>ならびにp53AIP1の発現誘導、さらに細胞増殖能抑制が認められた。これらの結果から、SK-N-AS細胞においてp53の細胞質局在はp53の構造異常によるもの、p53依存性の細胞増殖抑制あるいは細胞死が誘導され得ることが示唆された。p53のC末端に変異を持つSK-N-AS細胞はシスプラチン処理によってG2/M期で停止しアポトーシスに陥らなかった。また、p21^<WAF1>の発現誘導は認められたが、p53の安定化およびBaxの発現昂進は検出されなかった。したがって、SK-N-AS細胞の薬剤耐性はp53の構造異常に起因すると考えられた。
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