2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
中村 みほ 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 機能発達学部, 主任研究員 (70291945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 昌子 生理学研究所, 感覚運動調節研究部門, 助手 (00321612)
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Keywords | ウィリアムズ症候群 / 顔 / 脳磁図 / MEG |
Research Abstract |
本年度は本研究課題の初年度にあたり、心理学的手法と脳磁図を用いた神経生理学的手法を用いてウィリアムズ症候群(以下WS)患者らにおける顔認知が健常群と比べてどのような特徴を持つかという点に関して、従来の我々の研究による知見からさらに発展させて検討した。 まず、心理学的検討として正立顔同定の能力を客観的に検討するため、9歳から16歳の6名のWS患者に対してBenton Facial Recognition Testを実施した。その結果、正立顔の同定はコントロール群と比較して同等かやや劣るのみであるとする従来の知見を追認する結果を得た。なお、当初予定した心理物理実験は、今後予定する脳波実験と同時に行うことが望ましいと考え、次年度以降に持ち越した。 次に13歳の典型的症状を持つWS女性患者1名を対象とし、左半視野に提示した正立顔と倒立顔の刺激に対する脳磁場反応を健常成人ならびに同年齢定型発達児のコントロールと比較検討した。我々は別のWS患者に対しても類似の検討を試みた経験を持つが、従来の我々の検討手法と異なる点は、新たに作成した日本人の顔を用いた刺激を用いる点、全頭型の脳磁計を用いる点、また、同年齢定型発達児との比較を行う点である。その結果、本被験者においても、正立顔倒立顔それぞれの刺激に対して脳磁場反応が検出され、その反応潜時を検討したところ、健常成人ならびに同年齢定型発達児においてはいずれも正立顔刺激と比較して倒立顔刺激において脳磁場反応の延長傾向が認められる(倒立効果を認める)のに対し、本WS被験者においてはそれを認めなかった。これは従来の我々の結果と一致する知見であり、顔認知におけるconfigural processing、local processingのかかわり、WSの認知特性を探る上で有用と考えられた。今後更なる研究協力者を募って検討を深める予定である。
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