2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎児新生児期の内分泌攪乱物質暴露が生殖能及び中枢神経機能の発達に及ぼす影響の研究
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17591138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀井 良政 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (00251265)
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Keywords | アポトーシス / Bax / 神経細胞 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
本研究は、エストロゲン作用を有する様々な内分泌撹乱物質に胎児期・新生児期の暴露がその後の中枢神経系の発達にいかなる影響をもたらすかについて、検討を加える目的で行うものである。 昨年度は、神経細胞初代培養系を用いて、このグルタミン酸負荷による神経細胞のアポトーシスがいかなる機序で発症しているのかを検討し、グルタミン負荷による神経細胞のアポトーシスはBaxを介することが明らかとした(論文再投稿中)。現在、エストロゲン作用を有する内分泌撹乱物質の中枢神経細胞におけるアポトーシス抑制効果について、検討を始めている。 本年度は、中枢神経系の発達において神経細胞とともに重要な役割を果たしているグリア細胞について、新たな検討を行った。グリア細胞の中でも、とりわけオリゴデンドロサイトは、脳室周囲白質軟化症の発症に深く関与していることが知られている。すなわち、胎内での感染や脳虚血を契機にオリゴデンドロサイト前駆細胞が障害を受けるが、この過程でアポトーシスや細胞壊死のメカニズムが深く関与している。 そこで本年度は、このオリゴデンドロサイトの細胞障害がエストロゲンあるいはエストロゲン作用を有する内分泌撹乱物質により変化を受けるか否かを検討するために、その前段階としてオリゴデンドロサイト前駆細胞の細胞培養系を確立し、オリゴデンドロサイトの至適培養条件を検討した。その結果、通常の培養条件に比べて、低温下での培養のほうが細胞増殖能が優れていることが明らかとなった。すでに、この低温培養条件下でのオリゴデンドロサイト増殖能の変化に、いかなる因子が関与しているかを、DNA microarray法を用いて検討し、既に数百個の候補因子を得ることができた。今後は、これら因子について、実際にmRNAレベル、発現蛋白レベルで変化があるのかを検討し、次にこれらの因子が内分泌撹乱物質の負荷により変化するか否かを検討したい。
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Research Products
(5 results)