2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591142
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小原 政信 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60132479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉里 勝利 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (20095516)
柏木 昭彦 広島大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (50106796)
原 鉄明 広島大学, 病院・助教授 (30198890)
河田 則文 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教授 (30271191)
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Keywords | サイトグロビン / ヘムタンパク質 / トランスジェニックガエル / 無脳症 / 神経管閉鎖不全 / 分子発生学 / 体外受精 / 頭部形成遺伝子 |
Research Abstract |
サイトグロビンCytoglobin(Cyg)/STAPは細胞質と核に局在するグロビンタンパク質である。低酸素応答性ヘムタンバク質であるが,その生理機能は未だ不明である。Cyg/STAP遺伝子を導入したアフリカツメカエルは無脳の奇形胚を生じヒト無脳症の病態と類似点が多い。本年度は前年度の成果をさらに展開すべく以下の研究を実施し重要な研究実績を得た。 1)正常胚とCyg/STAP奇形胚の遺伝子発現様式を比較検討することにより、無脳症の主因とされる神経管の閉鎖異常を起す遺伝子の発現様式を解析した。その結果、Cyg/STAP奇形胚ではWint11だけでなくWnt4,6,8の複数のWint遺伝子群の発現様式が大きく変化することが判った。また、Wintの受容体であるFrizzled遺伝子(Fz7,Fz8)の発現も抑制されていた。このことは、神経管の閉鎖に必要な遺伝子カスケードが選択的に抑制されていることを意味する重要な発見である。頭部形成に必要なCerberusやDickkopfの各遺伝子の発現も予想どうり抑制されていた。 2)抗-Cyg/STAP抗体を作製しアフリカツメカエルの初期胚や幼生について免疫組織化学的解析を実施した。その結果、Cyg/STAPタンパク質が脳や脊髄、体節、及び幼生の筋肉で強く,発現していることが判った。また、その局在は組織特異的であり神経系では細胞核に、また非神経系では細胞質に強いCyg/STAPタンパク質の発現を認めた。このことはCyg/STAPの機能が各組織で異なることを示唆する。 3)体外受精のヒト廃棄胚を利用する研究計画を学内研究倫理委員会へ提出し既に研究実施の承認を得た。また、ヒトについて約40種の候補遺伝子の解析系は確立した。しかし、現在までに十分な検体が確保できずヒト廃棄胚を用いた体系的な解析は実施できなかった。 4)比較進化学的研究により、両生類ではミオグロビンの機能をCyg/STAPが代償している可能性を提唱した(Gene, in press)。
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