2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素に対する胎仔脳保護機構の研究:光学的イメージング法とRNAi法による解析
Project/Area Number |
17591143
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂田 義行 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10034927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 彰治 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80112051)
木田 裕之 山口大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70432739)
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Keywords | 低酸素症 / 胎仔脳 / Bcl-2 / Bax / siRNA / カスパーゼー3 / アポトーシス / 光学的イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、in vivo胎仔脳で、低酸素によるカスパーゼー3の活性がアポトーシス制御系のどの因子によって影響されているかを見出すことによって、低酸素に対する胎仔脳の保護機構を解明することである。本年度は、臍帯結紮による低酸素負荷に対して、アポトーシス抑制因子(Bcl-2)と促進因子(Bax)のそれぞれのsiRNAを用いてRNA干渉を行い、アポトーシス発現の最終決定因子であるカスパーゼー3活性に対する働きを、光学的イメージング法を用いて検討した。 実験動物には胎齢22日目の妊娠ラットを使用した。ウレタン麻酔(1.2-14g/kg, i.p.)後、胎仔は一母体と臍帯がつながった状態で取り出し、固定台に固定した。胎仔の上丘を露出し、光学的イメージング装置にセットした。低酸素負荷のため、臍帯結紮を5分間行った。Bci-2-siRNAならびにBax-siRNAの細胞内導入はエレクトロポレーションにより行った。対照群において、臍帯結紮によるカスパーゼー3活性は一過性に上昇した。臍帯の再還流後、カスパーゼー3活性はさらに大きく上昇し、緩やかに回復した。最初の結紮から2時間と3時間後において、結紮時のBcl-2-siRNAの効果は見られなかった。再還流後ではBcl-2-siRNA群は対照群とくらべて有意差はないがカスパーゼー3の活性は増加する傾向を示した。一方、Bax-siRNA群は2時間後において結紮時には対照群との有意差は認められなかった。再還流後において、Bax-siRNA群は対照群に比べてカスパーゼー3活性の有意な抑制が見られた。しかし、3時間後においては有意差はなかった。 これらの結果から、低酸素症の胎仔脳においてにおいてBcl-2、Baxはアポトーシスカスケードに働いて修飾している可能性が考えられる。今後、さらに胎仔脳保護機構について詳細に検討しなければならない。
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