2006 Fiscal Year Annual Research Report
新生児における大脳基底核病変の病態解明と治療法及び予防法の確立
Project/Area Number |
17591145
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
福田 純男 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90336678)
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Keywords | 生体生命情報学 / 医療・福祉 / 脳・神経 |
Research Abstract |
最近の新生児医療の進歩により、出生体重1000グラム未満の超低出生体重児もその多くが生存できる様になった。しかし救命に成功し生存率が向上しても、未熟であるが故の神経学的後遣症の発症を招き、「後遺症なき生存」そのものは改善されていない。最近ではこれら超低出生体重児、極低出生体重児に脳性麻痺、精神発達遅滞、聴力障害、視力障害、てんかん、ひいては学習障害、自閉症などの高度脳障害が後に認められる事が指摘されている。これらの原因は脳室周囲白質軟化症という疾患概念で従来捉えられて来たが、現在では大脳白質のみならず灰白質、大脳基底核にその病変が及んでいる事が推察される様になった。従ってこれら早産児における大脳全体に対する障害としての病態の診断原因究明ひいては予防法の確立が今後の重要な課題と考えられる。 大脳基底核病変については現在のところ超音波診断装置、CT、MRIなどの画像診断法により本疾患の早期診断が試みられて来た。確かに明確な梗塞病変を形成した児においてはこれらの診断方法は有効であったが、大脳の深部に位置する基底核の診断は困難であった。そのため有る程度日齢が進んだ後、重症例についてMRIで診断される事が多いのが現状である。そこで我々は新たな病態把握のための指数として大脳基底核指数の検討を試みた。これは大脳基底核が頭頂及び側面の三方向からみて楕円形を示す事より、この部位を一つの楕円体と見なし、体積に近似させた指数を算出する試みである。現在各病態において症例数を重ねているが、神経学的予後との相関が明らかになれば有効な臨床上有効な指数になり得るものと考えられる。また我々は大脳全体における流入血液量の低下を把握する事に成功しておりこれらの結果と併せて大脳基底核病変の病態を把握するだけでなく、その治療方法も開発するべく検討を進めている。
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