2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591147
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60142379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西久保 俊也 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (20208169)
安原 肇 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (00398447)
新居 育世 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (80405406)
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Keywords | 新生児血栓症 / 抗血栓因子 / プロテインC / TAFI / 新生児中心静脈カテーテル |
Research Abstract |
新生児の血栓症の発症要因について研究した。新生児血栓症の全国調査を行い、全国NICU入院患者115,298例中36例(0.031%)に、なんらかの血栓症が発症していることが明らかとなった。しかし、カナダからの報告と比較し、その頻度は1/10で、その差が人種差によるものか、診断の差かは今後さらに、追跡調査を行う必要がある。さらに、新生児血栓症の診断法や診断基準をより明確化していく必要がある。また、新生児血栓症の発症部位は、欧米からの報告と同様に腎静脈血栓が最も多くみられた。治療は、多くは保存的治療であったが、近年、欧米と同様にウロキナーゼや組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)など積極的治療が行われるようになってきた。抗血栓因子の関与を明らかにするため、当院で経験した新生児血栓症5例での抗血栓因子に動態を検索した。3例にプロテインC活性・抗原の低下が、1例にプロテインS活性の低下、1例にAPCレジスタンス様の症例がみられた。それら因子は年齢とともにCatch-upした。特に新生児早期のプロテインC活性低下は新生児血栓症の発症要因のひとつと考えられた。そのためには、今後症例の集積が必要と考えられた。一方、ADAMTS-13は、超低出生体重児では、成人の1/4と低値であった。ADAMTS-13活性低下はUpshaw-Schulman症候群の病因として注目され、血小板血栓、それに伴う溶血や重症黄疸を惹起することが知られている。超低出生体重児のADAMTS-13活性が低下していることは、病的状態での超低出生体重児の血栓形成に関与していることが示唆された。また、各種抗血栓因子の作用機序の解明をin-vitroの系で検索し、活性化プロテインC,可溶性トロンボモジュリンの有用性を示した。新生児の線溶に関する研究では新生児でTAFI抗原の低下をみとめた。検索数が少なく在胎週数や出生体重との相関については今後さらに明らかにする必要である。TAFIの低下は、既に報告した新生児の線溶能が成人に比して亢進しやすい機序に、t-PA・PAI-1の他にTAFIの関与が示唆された。新生児用中心静脈カテーテルは、新生児血栓症の危険因子のひとつとされる。臨床使用した新生児中心静脈カテーテルでの血栓形成を明らかにした。その予防法については今後さらに解明していく予定である。
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Research Products
(6 results)