2005 Fiscal Year Annual Research Report
各種人工肺サーファクタントの表面活性・生理活性と成分・超微構造との比較研究
Project/Area Number |
17591148
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高橋 明雄 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70163235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 勝一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30108930)
嶋田 泉司 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (30091804)
佐々木 美香 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20306012)
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Keywords | 肺サーファクタント / 表面張力 / 肺胸郭圧量曲線 / 肺胸郭コンプライアンス |
Research Abstract |
【方法】人工肺サーファクタントは、国産のSurfacten、および外国産のSurvanta, Curosurf, Alveofact, Infasurfを入手した。これらについてウィルヘルミ-型表面張力計を用いてin vitro表面活性の測定を、呼吸窮迫症候群モデルである妊娠27日のウサギ胎仔を用いてin vivo生理活性を測定した。【結果】1.in vitro表面活性:表面吸着(mN/m)は,Surfacten(32.6±1.3)がSurvanta, Infasurf, Alveofact, Curosurfと比較して,有意に低値を示した(p<0.001).表面拡散(mN/m)は,Surfacten(27.0±0.4),Infasurf, Alveofact, CurosurfがSurvantaと比較して有意に低値を示した(p<0.001).最小表面張力(mN/m)は,Surfacten(4.6±0.9)とSurvantaがInfasurf, Alveofact, Curosurfと比較して有意に低値を示し(p<0.001),最大表面張力(mN/m)は,Surfacten(26.9±1.1)とAlveofactがSurvanta, Infasurf, Curosurfと比較して有意に低値を示した(p<0.001).また,表面圧縮時に表面張力が10mN/mに達したのはSurfacten(74.6±3.2%)とSurvantaだけで,その表面圧縮率はSurfactenが0.023±0.002m/mNであった.2.in vivo生理活性:未熟ウサギ胎仔に各種人工肺サーファクタントを気管カテーテルから注入し、肺胸郭圧量曲線と肺胸郭コンプライアンスを測定して、データを収集した(各群n=7)。測定後、気管を結紮し、肺組織像の検討のためにホルマリン固定をした。【まとめ】新生児呼吸窮迫症候群の治療薬として使用されている5種類の人工肺サーファクタント製剤間に質的差の存在することが明らかとなった.表面活性が良好な肺サーファクタントの基準を満たしたのは,わが国のSurfactenだけであった.臨床における各製剤の急性効果の違いは、その量や質に起因する可能性も考えられる.平成18年度は、収集したin vivo生理活性のデータ解析、および肺組織像の比較検討を行う予定である。
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