2005 Fiscal Year Annual Research Report
乾癬で過剰発現している脂肪酸結合タンパクE-FABPによる表皮細胞の制御機構
Project/Area Number |
17591156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 彰 東北大学, 病院, 助手 (40396495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 隆平 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80292332)
大和田 祐二 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20292211)
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Keywords | 皮膚科 / 表皮細胞 / FABP / 脂肪酸 / 乾癬 |
Research Abstract |
代表的な皮膚疾患の1つである乾癬の病態を明らかにする目的で、E-FABPに着目した。E-FABPは脂肪酸結合タンパクであり、細胞内の脂肪酸輸送やエネルギー産生に関わるといわれている。E-FABPは乾癬表皮で過剰発現しているが、E-FABPが乾癬の病態にどのように関わるのか未だ明らかでない。そこで、表皮でのE-FABPの作用を明らかにするため、in vitroとin vivoの両面からE-FABP欠損マウスを用いて解析を行った。 E-FABP欠損マウスは肉眼的には大きな異常を示さないが、in vitroにおいて細胞遊走に障害があることがわかった。さらに細胞の増殖と分化を生化学的に解析したところ、分化に障害があることがわかった。E-FABPが過剰発現している乾癬表皮ではインボルクリンが過剰発現しているのに対して、E-FABP欠損表皮ではインボルクリンの発現が低下していた。この分化の異常はE-FABPが脂肪酸結合タンパクであることから脂肪酸組成の異常に伴うのではないかと予想しガスクロマトグラフィーを行い検証した。E-FABP欠損表皮では脂肪酸のうち、リノール酸において細胞に存在する含有量が顕著に減少していた。この脂肪酸組成の異常が表皮細胞分化の異常にどのように関わっているのか、様々なシグナル伝達系の活性をはかり調べている。これまで他のグループからの報告で、E-FABPは脂肪酸を介してPPARやPKCなどの活性化に関与していることが報告されている。しかし、私たちがこれまでE-FABP欠損表皮について解析した結果ではこれらのシグナル系に異常はみられなかった。E-FABPは表皮において、PPARやPKCではなく別のシグナル系の制御に関与していると思われた。
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