2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答因子Nrf2が皮膚の紫外線発癌・光老化の予防に果たす役割
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17591157
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川内 康弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (00272196)
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Keywords | Nrf2 / 皮膚発癌 / 光老化 |
Research Abstract |
酸化ストレス応答系Nrf2-Keap1は、酸化ストレスに対して細胞が対抗する中心的システムとして最近同定された細胞内シグナル伝達系であり、細胞が酸化ストレスに暴露されると活性化し、抗酸化・生体防御蛋白の発現を活性化する経路であり、酸化ストレスから細胞を保護する主要な経路である。一方、近年、UV照射は、NOや活性酸素などの酸化ストレス物質の強力な細胞内発生刺激であることが知られてきている。そこで本年度は、酸化ストレス応答系Nrf2-Keap1が、UV照射に対する細胞の反応、癌化、老化にどのように関わっているかを解析することを目的として以下の実験を行った。 野生型正常マウスを麻酔後、背部皮膚を剃毛。UVB6を1回照射し、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間後のそれぞれのtime courseで、照射部位の切除生検を行い、その組織標本を用い、抗Nrf2ポリクローナル抗体を用いて、標本を免疫染色し、Nrf2の細胞質から核内への移行を検索したところ、Nrf2の核内移行は確認できなかった。さらに、組織から各time pointでのmRNAを抽出し、ラジオラベルしたNrf2プローブを用いて、ノザンプロットを行い、Nrf2の転写レベルの増減を検索したところ、Nrf2の転写レベルに変化はなかった。また、組織から各time pointでのmRNAを抽出し、グルタチオンS転位酵素・グルタニルシステイン合成酵素・NADPHキノロン酸化還元酵素・ヘモオキシゲナーゼ・チオレドキシンなどのNrf2標的遺伝子群のラジオラベルプローブを用いてノザンブロットを行い、Nrf2の活性化・抑制が下流の抗酸化ストレス遺伝子産物の動きと連動しているかを検索したところ、各遺伝子はUV照射に連動して低下した。
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