2005 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによる好中球の細胞運動と活性化における細胞内シグナルの機能解析
Project/Area Number |
17591179
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
忽那 晴央 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00332958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中元 哲也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90334383)
|
Keywords | 好中球 / GM-CSF / TNF / 細胞運動 / ERK / p38 / PI3K |
Research Abstract |
ヒト好中球の細胞運動について解析した。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカインで好中球を刺激した。サイトカイン刺激後数分で形態変化および細胞運動がみられた。GM-CSF刺激では細胞が長軸方向に伸びて極性を示した。それに対して、TNF刺激では極性は認められず、強い接着と伸展を示した。GM-CSF刺激による細胞の移動は距離が長く直線的であった。TNF刺激による細胞の移動は距離が短く蛇行的であった。MEK阻害剤により、GM-CSFおよびTNFによって誘導される偽足の形成と細胞の移動が阻害され、蛇行的運動が優位となった。p38 MAPK阻害剤により、GM-CSFによって誘導される偽足の形成と細胞の移動は影響を受けなかったが、細長い突起状または棒状の特徴的な尾部が形成され、手鏡様の形態を示した。一方、TNFで刺激した細胞では、伸展が強く阻害され、明らかな極性を示し、直線的な移動が優位となって、移動距離も長くなった。PI3K阻害剤により、GM-CSFで刺激した細胞では、偽足の形成とともに、多くの細胞がuropodを形成し、細胞移動が抑制された。一方、TNFで刺激した細胞では、伸展が阻害され、細胞の移動が亢進した。GM-CSFおよびTNFによって誘導される好中球の接着は、抗CD18中和抗体により強く阻害された。GM-CSFで刺激した細胞では、CD62Lが尾部に局在した。これらの結果は、GM-CSFおよびTNFなどのサイトカインが好中球に作用して、サイトカイン特異的に形態変化、接着、伸展および運動を誘導し、これらの応答にMEK/ERK、p38 MAPK、PI3Kなどの細胞内シグナルおよびインテグリンなどの接着分子が関与していることを示している。
|