2005 Fiscal Year Annual Research Report
メラノサイトの発生初期のMitfの役割とTyrp1による前駆細胞の生存維持
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17591187
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
河 陽子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10082273)
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Keywords | melanocyte / Mitf / Tyrp 1 / neural crest cell / RNA interference / development / NCCmelb4M5 / Mitf^<mi-ew> mouse |
Research Abstract |
メラノサイトの初期の発生に関わる因子のうち、転写因子であるMitfの役割に注目した。Mitfはチロシナーゼやtyrosinase rerated protein 1(Tyrp1)の転写因子であることが、明らかとなっているがMitfのミュータント(Mitf^<mi-ew>マウス)を用いたin vivoの実験ではKit陽性細胞しか検出されず、さらに発生の初期に前駆細胞が消滅してしまうので、Mitfの重要なもう一つの役割は発生初期のメラノサイト前駆細胞の生存の維持と考えられている。しかし、その作用機序に関しての報告はほとんどない。 本年度は発生初期のメラノサイトのモデルとして、マウス神経冠細胞培養株,NCCmelb4M5を用い、RNA interference(RNAi)によりMitfおよびTyrp1のmRNAをノックダウンし、Mitfがメラノサイト前駆細胞の生存を維持する作用機序を検討した。 NCCmelb4M5からMitfをノックダウンすると、3日後に細胞死が起こった。この時、bc1-2のmRNA量は変化せず、baxのmRNA量が細胞死に先行して増加しcaspase3陽性細胞が激増したので、baxを介したアポトーシスが引き起こされた事が示唆された。また、Mitf mRNA量の減少に続いてTyrp1 mRNA量も減少した。前年度の本研究で、Mitfのミュータント(Mitf^<mi-ew>マウス)の神経冠初代培養系にTPAとコレラトキシンを添加培養した時、Tyrp1陽性細胞が培養できた事とあわせ、Tyrp1が発生初期のメラノサイト前駆細胞の生存の維持に関与していると予測し、Tyrp1をノックダウンしたところ、予想通り細胞死が起こった。この時もbaxが上昇しアポトーシスに至ったと考えられる。しかし、細胞死とbaxの上昇する時期がMitfをノックダウンした時のそれより一日遅れているのと、細胞死に至る細胞数がMitfのそれより少ないので、まだ検討すべき課題が残っている。
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