2005 Fiscal Year Annual Research Report
内因性精神疾患の病態・発症機序における情動ストレスの役割に関する研究
Project/Area Number |
17591191
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 猛 北海道大学, 病院, 講師 (70250438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60360905)
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Keywords | 情動ストレス / 扁桃体 / SSRI / DNA microarray / 内因性精神疾患 / neurotensin / 恐怖条件付けストレス / すくみ行動 |
Research Abstract |
恐怖条件付けストレス(CFS)によって惹起される不安・恐怖行動であるすくみ行動に対して、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は抑制的に作用する。CFSにおけるSSRIの抗不安作用の作用機序は扁桃体神経活動の抑制であることを、脳局所投与実験とc-Fos蛋白の免疫組織学的研究によって我々はこれまで明らかにしてきた。 本年度の研究ではラットにおける不安の動物モデルであるCFSとDNAマイクロアレイを用いて、扁桃体で変動する遺伝子発現プロファイリングを行った。Sprague-Dawley系雄性ラットにfootshockを5分間加えた。Footshockの7日後に、SSRIであるcitalopram 30mg/kg皮下投与し(生食投与群を対照とした)、その4時間後にラットをショック箱に5分間静置した。Citalopram投与によりCFSによって惹起される不安・恐怖行動であるすくみ行動は有意に抑制された。CFS負荷の22時間後にラット脳を断頭により速やかに取り出し、扁桃体のRNAを抽出した。Affymetrix社のGeneChip Rat Genome 230 2.0 Array(約28000のラット遺伝子含有)を用いてmRNAの変化を解析した。CFSによって発現が変化する遺伝子(CFS関連遺伝子)は17個同定された。そのうち、citalopram授与により変化がキャンセルされる遺伝子(SSRI-CFS関連遺伝子)はneurotensinのみであった。Neurotensinは扁桃体中心核に特に強く分布していることがこれまでの研究で報告されており、CFSにおいて未知の機能的役割をはたしていると推測される。
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