2006 Fiscal Year Annual Research Report
内因性精神疾患の病態・発症機序における情動ストレスの役割に関する研究
Project/Area Number |
17591191
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 猛 北海道大学, 大学病院, 講師 (70250438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 伸 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (60360905)
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Keywords | 情動ストレス / 扁桃体 / SSRI / グリシン / 内因性精神疾患 / 脳内微小透析法 / 恐怖条件付けストレス / すくみ行動 |
Research Abstract |
本年度の研究では、恐怖条件付けストレス(CFS)によって惹起されるすくみ行動を不安・恐怖の指標として、情動ストレスの神経化学的機序について検討した。 1.CFSに対する選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害薬(SSRI)の抗不安作用について、脳内微小透析法によって扁桃体ドパミン、5-HT細胞外濃度の変化を測定し、検討した。SSRIの扁桃体への局所投与は細胞外5-HT濃度を増加させ、同時にCFSによるすくみ行動を抑制した。SSRI投与下で、CFSは細胞外5-HT濃度を増加させ、消去過程でCFSを反復曝露すると細胞外5-HT濃度増加は減弱せず、さらに増強した。したがって、従来から我々が仮説として提唱しているように、扁桃体の5-HTは不安を惹起するのではなく、不安を抑制する機能的役割をはたしていることが明らかになった。 2.CFSにおいて、条件付けとテストの間隔を2週間にあけることにより、SSRIの抗不安作用は減弱し、有意な抗不安作用をえるのに反復投与を要することが明らかになった。この実験条件のCFSは臨床的な不安障害に近い病態モデルといえる。この実験条件で、SSRI急性投与の効果を5-HTIA受容体アゴニストの併用が増強したことから、臨床的にも不安障害・気分障害の治療に両者の併用が有用であることが示唆された。 3.脳内アミノ酸神経伝達物質であるグリシンのCFSにおける機能的役割を明らかにするために、グリシン・トランスポーター1阻害薬をCFSの条件付けとテストの前に投与し、CFSによるすくみ行動発現を解析したところ、グリシン・トランスポーター1阻害薬はCFSの獲得過程と発現過程の両過程を有意に抑制した。したがって、グリシン神経伝達の活性化は両過程に治療的に作用することが示唆された。
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Research Products
(5 results)