2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (40345898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助手 (90378167)
赤津 裕康 福祉村病院, 長寿医学研究所, 副所長 (00399734)
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Keywords | ドーパミン / アセチルコリン / 認知機能 / レビー小体型認知症 / アルツハイマー型認知症 / 海馬 / 中隔核 / 対角核 |
Research Abstract |
ドーパミンとアセチルコリンの認知機能における相互作用を明らかにするために、ラットを用いての実験を行なった。コリン欠乏状態でラットを飼育することにより、海馬のアセチルコリン系神経が障害されラットの認知機能低下がおこることはすでに当研究室が報告している(1)が、このモデルをもちいて実験を行なった。コリン欠乏食飼育ラットの海馬にドーパミンを直接注入することによって、低下したコリン欠乏食飼育ラットの認知機能の改善をみた。 また、同様に、アセチルコリンの薬理学的拮抗薬の腹腔内投与によっておこるラットの認知機能低下に対しても海馬へのドーパミンの直接注入は認知機能改善効果があることを示した(2)。 さらに、レビー小体型認知症(痴呆の呼称変更により)における海馬へのアセチルコリン系神経の入力の障害の有無を明らかにするために、同病の剖検脳を用いた検討を行なった。レビー小体型認知症患者の脳において海馬へのアセチルコリン系神経の起始核である中隔核と対角核のアセチルコリン系神経の細胞数をアルツハイマー型認知症と非認知症高齢者と比較した。これによって、レビー小体型認知症患者の脳においては、中隔核と対角核のアセチルコリン系神経の細胞数が非認知症高齢者と比較してのみならずアルツハイマー型認知症と比較しても統計学的有意に減少していることを示した(3)。 これらの結果からは、レビー小体型認知症患者脳においては、海馬へのアセチルコリン系神経の投射が強く障害されていることが明らかになり、動物実験の結果をあわせて考察すると、同病においては、ドーパミンが認知機能改善作用をもつ可能性が示された。したがって、今後は同病の患者に対するドーパミンの投与とその認知機能、運動機能改善効果について検討する予定である。 (1)Nakamura A, Suzuki Y, Umegaki H et al. Brain Res Bull 56(6) 593-597, 2001. (2)Fujishiro H. Umegaki H. et al. Psychopahrmacology 2005,16;1-9 (3)Fujishiro H. Umegaki H, et al. Acta Neuropathol, 2006,19;1-6
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