2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症における社会・認知・生理機能・脳画像と疾患感受性遺伝子多型に関する研究
Project/Area Number |
17591211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩瀬 真生 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60362711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80324763)
石井 良平 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40372619)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
橋本 亮太 大阪大学, 子どものこころの分子統御機構研究センター, 特任助手(常勤) (10370983)
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Keywords | 統合失調症 / 社会機能 / 認知機能 / 精神生理 / 脳画像 / 疾患感受性遺伝子 |
Research Abstract |
統合失調症患者に対し、認知機能としてWechsler Memory Scale-R、WAIS-R、Advanced Trail Making Test(ATMT)、Wisconsin Card Sorting Test、Japanese Adult Reading Test、Continuous Performance Test、表情認知テストを行った。社会機能はRehabilitation Evaluation Hall and Bakerを用いて評価した。脳画像としてはMRIを撮像しており、今後十分なデータ数を確保しVoxel Based Morphometryおよび拡散テンソル画像解析を行う。生理機能としてはMEGでは作業記憶課題およびStroop課題を用い、NIRSでは語流暢性課題(letter, category)、実行機能課題、作業記憶課題、Stroop課題を用いて前頭葉機能評価を行っている。PPIによる驚愕性瞬目反射の減弱の程度も測定している。遺伝子解析に必要な血液サンプルを統合失調症患者および健常対象者から得ており、今後十分な検体数を確保した上で、DISC-1、Dysbindin、Neuregulin 1、PACAPなどの疾患感受性遺伝子多型と認知機能、社会機能、脳画像、生理機能との関連を検討していく予定である。 現時点では、統合失調症において表情認知課題の成績が低下しており、成績の低下がコミュニケーション能力の低さと関連するという結果が得られており、平成18年9月の生物学的精神医学会で発表し英文論文を投稿中である。NIRSでは課題による前頭葉賦活の程度が低いことが患者群で観察された。PPIでは患者群の驚愕反射の抑制が低下していることが認められた。NIRSとPPIについては論文を準備中である。このように認知機能と社会機能との間の重要な関連がいくつか明らかになってきている。今後、サンプル数が増加すれば疾患感受性遺伝子多型に始まり、脳画像、生理機能、認知機能、社会機能までの評価により、統合失調症の障害の構造を遺伝子レベルから心理社会レベルまで理解可能になると期待される。
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