Research Abstract |
佐賀県伊万里市黒川町に在住の65歳以上の住民ほぼ全員に対して,本研究の趣旨を説明した。本年度は協力の同意の得られた被験者のうち76名(男性17名,女性59名,平均年齢75.6±6.8歳)について,1,精神科医師による面接,2,自己回答式質問表であるBeck Depression Inventory-Second Edition(BDI-II)日本語版,3,採血,4,頭部MRI検査を実施した。精神科医師による面接では,年齢,性別,教育歴,飲酒歴,喫煙歴,既往歴(高血圧症,糖尿病,心筋梗塞,脳卒中,頭部外傷)の聴取と,知的精神機能検査Mini-mental state examination(MMSE),痴呆評価尺度Clinical dementia rating(CDR)の施行,および痴呆疾患と気分障害の診断を行った。 血清検体はELISA法により以下の6つサイトカインおよび可溶性サイトカイン受容体の血清中濃度測定を行った。インターロイキン1β(IL-1β),IL-2,IL-6,腫瘍壊死因子α(TNFα),可溶性IL2受容体(soluble IL-2 receptor ; sIL-2R), sIL-6R。また頭部MRI検査は1.5TのMRI撮像装置を用いてT1強調でスライス厚1.5mm(冠状断),T2強調でスライス厚3mm(水平断)の三次元全脳撮像を行った。 来年度被験者をさらに増やした後データの解析を行う。具体的には痴呆疾患,MCIを有する者を除外した後,年齢,性別,教育歴,飲酒歴,既往歴(5つ),血清中IL-1β,IL-2,IL-6,TNFα,sIL-2R,sIL-6R濃度の15を独立変数(説明変数),BDI-IIスコアを従属変数(目的変数)として重回帰分析を実施する予定である。
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