2006 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患の伝統的症状学の客観評価法作成に関する研究-直感から計量的記述作業へ-
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17591230
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Research Institution | Wakayama medical university |
Principal Investigator |
郭 哲次 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70185718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
松本 直起 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60326361)
小瀬 朝海 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10405425)
正山 勝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70364081)
上山 栄子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40405444)
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Keywords | 表情 / 瞬目 / 精神症状 / 統合失調症 |
Research Abstract |
我々はすでに幻聴を有する統合失調症では幻聴のない統合失調症や、神経症性障害に比べ、安静時の瞬目回数が少なく瞬目間隔が長いという結果を得ている。今年度は、特に環境変化に伴う表情変化という基盤で、開眼を維持する必要のある注意集中時の瞬目の計測を行い表情の変化を調べた。 本研究では、長期入院から福祉ホームに入所するというストレス状況に置かれた長期入院統合失調症患者で、移動による患者の症状変化を評価し、同時に患者の状態像の生理的客観指標としての表情の一部である瞬目の変化に焦点を当て、精神症状の定量的マーカーと想定される瞬目を記録分析した。 方法として退院し福祉ホームに移動する統合失調症患者20名、同時期に入院を継続中の統合失調症患者(非移動群)10名を対象の入院中と退院し施設入所後の症状の変化についてZungの不安評価尺度と簡易精神症状評価尺度BPRSなどを用いて評価し、生理指標として集中課題による瞬目の変化を超小型携帯テレメーターSTS-1と眼球運動解析プログラム(MTS50069)を用い計測した。 結果、統合失調症移動群では移動前と移動後では不安評価尺度(p<0.01)と総BPRSスコア(p<0.0001)は有意に上昇していたが、BPRSの下位尺度では、非統合失調症尺度(P<0.0007)においてのみ有意な上昇が見られた。一方、精神機能障害評価スケールMenfis(P<0.05)において有意な改善が見られた。移動群において移動前後で安静時瞬目は変化が見られなかった。移動群の注意集中課題による集中時瞬目(p<0.05)は有意に減少していた。このことは、入院環境において、注意集中課題の有無による瞬目変化は少なかったが、福祉ホーム入所後に、不安レベルは増加していたが、パーフォーマンスが改善し、注意集中課題を通して表情変化が大きくなったことを客観的な指標として呈示できたことになる。
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Research Products
(7 results)