2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経発達障害モデルラットによる統合失調症の思春期発症機序の解明
Project/Area Number |
17591232
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
仙波 純一 放送大学, 教養学部, 教授 (30183429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須原 哲也 放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 特別上席研究員 (90216490)
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Keywords | 神経発達障害 / 統合失調症 / 動物モデル |
Research Abstract |
本年度は,methylazoxymethanol(MAM)を妊娠ラットに投与し胎児の神経発達を障害することによる統合失調症ラットモデルの妥当性を検討した.MAMの神経発達障害は神経発達の時期(母ラットの妊娠日)によってその内容が異なるため,妊娠13日(GDI3)あるいは15日にMAMを母ラットの腹腔内に25mg/kg投与した.出生21日の仔ラットの脳を取り出し,主に海馬での細胞構築の異常を組織病理学的に検討した.その結果,GD13では主に海馬における神経細胞の配列の異常,GD15日ではさらに皮質の層構造の形成異常が観察された.このときに,行動に対するドーパミンの感受性を検討するために,methamphe tamineを5mg/kg腹腔内に投与し,観察される多動を評価した.MAMをGD15に曝露した仔ラットはmethamphetamineに対する行動が著明に増加しており,このラットではドーパミン感受性が亢進していることが示された.さらに,MAM曝露ラットにおけるドーパミン・トランスポーター(DAT)の機能を,in situ hybridizationを用いて,黒質と腹側被蓋野におけるDAT mRNAの発現を指標に検討した.DAT mRNAはMAM処理によっても変化せず,少なくともmRNAのレベルではDATには影響を及ぼしていないようであった.今後は,social interactionなどの微細な行動異常の評価を進めるとともに,DATについてはautoradiographyなどにより脳各部位で機能的な障害が生じていないかを検討する予定である.
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