2005 Fiscal Year Annual Research Report
中高年うつ病における自殺企図の生物学的要因に関する脳画像研究
Project/Area Number |
17591235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
伊藤 敬雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (60318475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
須原 哲也 日本医科大学, 精神医学・放射線医学総合研究所・脳機能イメージング研究開発推進室, 客員教授、室長 (90216490)
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Keywords | 自殺企図 / 自殺予防 / 大うつ病 / 気分障害 / 中高齢者 / 睡眠障害 |
Research Abstract |
本邦における自殺者は3万人を7年連続で超えている。特に、その自殺者の特徴として、年代別では60歳以上が33%で最も多い。高齢者の自殺予防の見地から、自殺の原因として睡眠障害を取り上げた。当院の高次救命救急センターでは、2003年8月から2005年12月までの29ヶ月間に、自殺企図例558例(男性:女性=150:408)が入院した。このうち、初回自殺企図例269例(男性:女性=104:165)と複数回自殺企図例289例(男性:女性=46:243)に分けて、また、中高年自殺企図者における自殺企図1週間前の睡眠状態を調査して比較検討した。この研究では、多くの自殺企図例が睡眠障害を呈していることを明らかにした。初回例では複数回例と比較して睡眠の質は好ましくなかった。これは、初回例では複数回例と比較して大うつ病と診断された例が多かったこと、そして男性の割合が多かったことによると考えられた。睡眠の質的不足と悪夢、そして、量的不足と不規則な睡眠習慣は、直接的もしくは間接的に、自殺企図のリスクを増大させる可能性があると考えられた。この研究では、特に、高齢者自殺企図例において、他の年齢群、健常対照群と比較して、彼らは長期間睡眠不足を自覚していた。しかし、彼らは有効な処置をとることが少なく、睡眠の質的不足と量的不足を呈していた。他群と比較して高齢者自殺企図例の数が少ないことから、正確なことはいえなかった。しかし、このような睡眠習慣は、直接的もしくは間接的に、自殺企図のリスクを増大させる可能性があると考えられた。今後、画像診断を加えて自殺企図と生物学的要因の関連を調査研究するための第一歩となると考えた。
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Research Products
(3 results)