2006 Fiscal Year Annual Research Report
functional MRIを用いた強迫性障害の治療前後の脳機能研究
Project/Area Number |
17591236
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
中川 彰子 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (70253424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 敬 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (40322747)
神庭 重信 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (50195187)
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Keywords | 強迫性障害(OCD) / 機能的脳画像 / 神経心理検査 / 行動療法 / Stroop課題 / 症状誘発課題 |
Research Abstract |
(背景) 強迫性障害(OCD)の機能的脳画像研究が進んでいるが、脳機能と臨床症状、神経心理機能の関係の検証は十分でなく、特に治療前後での変化を検討することが求められている。昨年度の本研究では、薬物、行動療法により改善した患者において、症状誘発課題では眼窩前頭、背外側前頭前野、前帯状回の賦活の減少が、Stroop課題では頭頂葉、小脳の賦活の増加が認められた。今年度は薬物の影響のない行動療法のみの治療前後の比較をおこない、症状改善による変化を検討した。 (対象と方法) 当該研究機関外来を受診し、SCIDによりOCDと診断され、12週間の行動療法を受けた患者11名を対象とした。Stroop課題、症状誘発課題を用いたfMRIを治療前後に施行した。Stroop課題は神経心理検査としても治療前後に施行した。画像データはSPM99により統計解析をおこなった。 (結果) 行動療法によりY-BOCS(強迫症状スコア)の平均得点は29.7(重症)から12.4(軽症)に改善した。治療前後のfMRIでは、Stroop課題における眼窩前頭皮質や中前頭回、帯状回や海馬傍回を含む辺縁領域、側頭葉領域の賦活は減少し、頭頂葉、小脳、橋の活動は増加した。また、Stroop test成績に関しては、対照条件-と干渉条件の反応時間の差は治療前後で有意に減少した。症状誘発課題では治療前後ともに前頭眼窩面、下前頭回、頭頂葉、小脳での賦活がみられたが、治療による変化は左小脳の賦活の増加のみであった。 (結論) 今回の結果を、健常対象者との比較研究と合わせて検討すると、行動療法によるOCDの症状改善後、前頭葉の過剰賦活は減少し、後方脳の活動は増加し、正常化することが考えられる。今後は人数を増やし、薬物療法、他の神経心理課題での検討も必要である。
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Research Products
(3 results)