2007 Fiscal Year Annual Research Report
functional MRIを用いた強迫性障害の治療前後の脳機能研究
Project/Area Number |
17591236
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
中川 彰子 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (70253424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神庭 重信 九州大学, 医学研究院, 教授 (50195187)
吉浦 敬 九州大学大学病院, 講師 (40322747)
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Keywords | 強迫性障害 / fMRI / 認知機能 / Stroop Test / 行動療法 / 治療効果 |
Research Abstract |
本研究は強迫性障害の治療前後における認知機能、および脳機能の変化を検討することにより、本疾患の病態生理をより明らかにすることを目的とした。 対象は、18歳から60歳の外来患者で、構造化面接によって強迫性障害と診断され、他の精神疾患、知的障害を合併しない、強迫症状が中等度以上のもの、唱および年齢と性別をマッチさせた健常者である。対象患者に薬物療法あるいは行動療法を12週間おこない、治療前後に臨床評価(Y-BOCS,CGI-1等)、数種の神経心理検査(WAIS-R,WMS-R,WSCT,Stroop,ROCFT)、Stroop課題等の賦活課題を用いたfMRI撮影を試行し、治療前後における臨床症状、認知機能、脳機能画像上の変化とその関連を検討した。 YBOCS強迫症状スケールの総得点でみると、薬物療法、行動療法ともに強迫症状の有意な改善をみたが、対象患者が少数である上に、薬物療法群ではあらかじめ定めていた治療効果に関しての有効の条件であるYBOCS総得点の35%以上の改善かつCGI-IZかなり改善以上という条件を満たすものが3割のみであったため、平均のY-BOGS減少率が59%で全員が有効基準を満たした行動療法群11名についての治療前後の検討をおこなった。行動療法群では治療前にStroop testの成績が健常群に比して有意に悪かったが、治療後には正常化した。また、同課題を用いたfMRI画像上で治療前には健常群に比べ前帯状回、小脳の賦活が弱かったが、治療後には小脳、頭頂葉の賦活が増加し、眼窩前頭、中前頭回、側頭等の賦活が減少した。この結果は、これまで指摘されているいわゆるOCDループのみならず、小脳を含む後方脳と本疾患の病態生理との連関が示唆された。対象者が少数ではあるが、構造化面接で診断された他の精神疾患の合併のない強迫性障害において、強迫症状の著明な改善の前後での脳機能の変化を薬物の影響を除外して検討できたことは意義深いと考える。
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Research Products
(5 results)