2005 Fiscal Year Annual Research Report
PTSD患者の外傷刺激fMRIによる脳賦活部位の、認知行動療法による変化の検討
Project/Area Number |
17591239
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
金 吉晴 国立精神・神経センター, 成人精神保健部, 部長 (60225117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 聡美 国立精神・神経センター, 成人精神保健部, 室長 (20285753)
橋本 謙二 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10189483)
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Keywords | 心理療法 / ストレス科学 / 精神病理学 |
Research Abstract |
PTSDに対する治療法として、国際的に第一選択とされているものはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とCBT(認知行動療法)である。本研究では米国のEdna Foaらによって開発された持続エクスポージャー法を採用し、PTSD患者に之を施行し、前後での脳血流量の変化を測定することを目標とした。今年度はCBTの治療法の改良と、fMRI撮像による予備的な解析を行った。撮像に当たっては、被害に関連した、また被害と関連しない新聞記事の読み聞かせを行い、両者の間の脳血流量の差を取った。従来研究では画像刺激による辺縁系の血流変化を見たものが多いが、本研究では皮質の昨日変化に着目したため、言語的処理を含む刺激提示を行った。2例の予備解析の結果からは、文章刺激を用いた場合、従来PTSDで賦活されているとされた海馬扁桃体の賦活は認められなかった。治療前は後頭葉視覚野領域に有意な血流の増加が認められ、前頭葉皮質にはほとんど有意な賦活は認められなかった。治療後は、後頭葉視覚野領域の血流増加は消失し、前頭葉、利き手側Broca領域の血流の有意な増加が認められた。この変化は、治療前には体験記憶に圧倒され、目の目に被害の情景が広がり、何も考えることができないと訴えていたが、治療後には視覚的な光景が見られることはなく、冷静に体験について語ることができるようになったという変化に対応する者と考えられた。
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