2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血流遮断剤による放射線治療後の癌再発要因除去の研究
Project/Area Number |
17591242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 勝義 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00143032)
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Keywords | 放射線療法 / 腫瘍血流遮断 / 治療効果増強 |
Research Abstract |
癌細胞の大部分が変性死滅する照射線量を用いても、腫瘍血管は機能し、豊富な腫瘍血流(TBF)を保持していることを、実験腫瘍で観察してきた。この血流は死を免れた癌細胞の栄養源となり、腫瘍再増殖の火種になると考えられる。そこで、照射後、TBF遮断剤AC7700でこの血流を断ち、癌再発率を下げることが本研究の目的である。今年度は、吉田腹水肝癌AH109Aと吉田腹水肉腫LY80を用い、その皮下移植腫瘍に10あるいは20 GyのX線を1回照射した時のTBFの変化、およびAC7700による影響を、経日的に計測した。20 Gyの照射では、癌細胞の多くは死滅したが、約10日後、血流量の多い部位から再増殖が始まった。TBFはAH109A、LY80共に、照射前には約20ml/min/100gであったが、照射後徐々に増加し、3、4日後にピーク(40-50ml)に達した。増量したTBFは、腫瘍縮小が見られる間中、維持されていた。AC7700は、この増量したTBFを、照射後のどの時点からでも完全に遮断した。しかし、その遮断効果は、照射をしない場合と比べて若干弱くなり、血流は24時間後から徐々に回復する傾向があった。この場合、AC7700を24時間毎に2ないし3回反復投与すると、その遮断を不可逆化できることがわかった。AH109Aを用いた治療実験で、照射(10 Gy)2時間後にAC7700あるいは0.9%NaCl(control)を全身投与した結果、X線+0.9%NaCl群、AC7700単独群に比べ、X線+AC7700併用群で著明な腫瘍増殖抑制効果があり、腫瘍再増殖、リンパ節転移の開始時期が大幅に遅れた。LY80を用いた実験でも、AH109Aと同様、照射後に行うTBF遮断により、放射線療法の治療成績が著しく向上する結果が得られつつある。現在、この有効性の背景を探るために、血管密度、腫瘍間質液圧の変化などの微小循環学的解析を進めている。また、TBF遮断剤投与のタイミング、回数など、治療最適条件を検討しているところである。
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Research Products
(2 results)