2006 Fiscal Year Annual Research Report
相同・非相同交換染色体修復関連遺伝子の発現機序解析による新しい放射線治療法の開発
Project/Area Number |
17591248
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川上 浩幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30296701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 哲也 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60234077)
宇野 隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30302540)
磯部 公一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80334184)
伊東 久夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20095574)
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Keywords | 放射線 / DNA修復 / ATM / 非相同交換染色体 |
Research Abstract |
細胞の放射線感受性はNHEJおよびHRによる修復能の差により決まると予想されることから、本年度は昨年度に得られた正常細胞およびAT細胞のG0期の染色体損傷に加え、G2期染色体における染色分体切断と誤修復の経時的変化を検討した。これまでの報告では、ATMはHRにおいて重要な働きをすることが示唆されていることから、AT細胞ではG0期同様に誤修復が著しく高頻度に誘発されると予想された。しかしながら、AT細胞のG2期染色体損傷の経時的変化からは、正常細胞と比較して明らかな誤修復の増加は見られず、修復されない切断が高いのみであった。ATM遺伝子はNHEJではなく、HEを介する修復に重要な遺伝子とされているが、我々の結果はむしろNHEJの正確性に重要な遺伝子と考えられた。AT細胞においてKu70,Ku80,Rad51等の遺伝子リン酸化をウエスタンブロッテイン法にて検討したがG0期、G2期いずれにおいても正常なバンドがえられたことから、AT細胞の異常感受性はATM遺伝子の変異による静止期の誤修復に由来すると考えられこれまでの報告とことなる結果であった。放射線による損傷修復に関与すると考えられている遺伝子として、ATM, ku70,ku80,p53,Rad51等が候補として挙げられているが、AT細胞ではいずれの遺伝子のリン酸化に異常はみられなかった。癌細胞にsiRNAの導入による誤修復誘導をこころみたが、十分な導入ができず、感受性増感は得られなかったが、今後の課題として実験を継続したい。
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