2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規トランスポーターマッピング剤による「アルツハイマー病の早期診断」に関する研究
Project/Area Number |
17591257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教授 (40143929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 厚文 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (90019604)
小川 数馬 金沢大学, 学際科学実験センター, 助手 (30347471)
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Keywords | シグマ受容体 / アルツハイマー病 / PET / ポジトロン核種 / 分子イメージング剤 |
Research Abstract |
ポジトロン核種である炭素-11(^<11>C)で標識した新規の放射性標識分子イメージング剤を開発し、アルツハイマー病を核医学的手法により、客観的に早期診断することを目的として本研究を行ってきた、本年度はアセチルコリントランスポーターに高親和性で結合するベサミコール類の中にシグマ受容体にも高親和性を示すものがあることから、シグマ受容体のみ高親和性を有するベサミコール類似体の合成を検討した。シグマ受容体は学習/記憶メカニズムと密接に関係があるとされている。また、シグマ受容体は老齢化に伴い増加する傾向があり、シグマ受容体は老化による、精神神経的な異常に対して、正常に保とうと強く働いている可能性がある。したがって、シグマ受容体分子イメージングにより、アルツハイマー病を含む痴呆や種々の精神神経疾患の進行度(重症度)が把握できることが期待される。シグマ受容体リガンドとして、これまでにSPECT用の放射性ヨウ素標識(+)-p-iodovesamico1[(+)-pIV]を開発してきた。今回、ポジトロン核種である炭素-11(^<11>C)で標識した新規のシグマ受容体分子イメージング剤の開発を目指し、まず、ポジトロン核種であるC-11の導入を容易にするため、ベサミコールのパラ位にメチル基を導入した(+)-p-methylvesamicol[(+)PMV]の合成を検討した。合成は、4-bromobenzaldehyde(1)を出発原料として、アルデヒドの保護、グリニヤー反応等により4-methylbenzaldehyde(2)を合成する。2から5工程でベサミコール誘導体合成の際の基本構造体である4-(4-metylphenyl)piperidine(3)を合成した。目的の(+)PMVは3か2工程で合成できた。最終的に出発原料1から10行程で目的の(+)PMVを通算収率3-5%で得ることができた。構造はNMR,質量分析、元素分析により確認した。 次に、(+)PMVのシグマ受容体(σ-1,σ-2)に対する親和性を調べるためラット脳及びラット肝臓組織を用いたインビトロ薬物阻害実験を行った。その結果、(+)PMVはシグマ受容体(σ-1)対して、高い親和性(σ-1(Ki=3.0nM),σ-2(Ki=40.7nM))を示した。 以上のことから、メチル基を有する(+)PMVはポジトロン核種であるC-11で容易に標識可能であり、優れたPET用シグマ受容体分子イメージング剤のリガンドになると考えられた。
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Research Products
(1 results)