2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しいMR用血液プール造影剤による肝細胞癌検出能向上に関する実験的研究
Project/Area Number |
17591262
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹原 康雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (70188217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
村松 克晃 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40397401)
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Keywords | 血液滞留性 / 肝細胞癌 / デンドリマー / blood pool agent / 磁気共鳴画像 / 造影剤 / 組織特異性 / MRI |
Research Abstract |
平成18年度は、投与後数時間にわたり血管内に滞留する新しい造影剤dendrimers DTPA-DIGlu(OH)(以下デンドリマー)を用いて、造影MRIによる肝細胞癌の検出の可能性について検討した。(方法)・F344ラットに100ppmのdiethylnitrosamineを混和した蒸留水を給水して約3カ月間通常飼育下で化学発癌を誘導して得た23結節の肝細胞癌モデル(多血性腫瘍モデル)を対象に、Gd-DTPA(0.1mol/kg)による造影T1強調画像の連続撮影を2時間後までSE法(T1強調画像:TR/TE=250/9.1)により行った。6時間以上間隔をあけて、引き続き同様の撮像をデンドリマー(0.05mol/kg)を用いて施行した。撮影後肝臓を摘出し、連続切片を作製、H&E染色し(一部CD34、VEGFによる免疫組織化学染色)、組織切片で判定した癌巣とMRI上それに対応する結節を対照させ、結節、背景肝、画像の背景部分の信号のSDを計測し、コントラスト雑音比(CNR)を計算した。(結果)デンドリマーでは通常のSE法で肝細胞癌に対する十分な造影能を示した。CNRは3分後の平均値で造影前より120%上昇し、2時間後でも106%の上昇を維持した。これに対して通常のGd-DTPAによる造影では3分後に36%のCNR上昇を見たのみで、30分後と2時間後には造影前のCNRに低下していた。デンドリマーでは造影後少なくとも2時間後まで、肉眼的に肝細胞癌の同定が容易で、CNRとしては最大でGd-DTPAに対し約3.3倍の造影能を示した(3分後)。デンドリマーを用いれば、こうした長時閥にわたる高い腫瘍-正常組織コントラストを維持でき、腫瘍の介入治療等に応用可能であるのみならず、磁場勾配のパフォーマンスが低いMR装置でも富血性肝細胞癌の全肝スクリーニングができる可能性がある。
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