2006 Fiscal Year Annual Research Report
3テスラMRI装置を用いたMRスペクトロスコピーによる膵島量とその膵内分布の評価
Project/Area Number |
17591264
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯田 裕義 京都大学, 医学研究科, 助手 (20309214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富樫 かおり 京都大学, 医学研究科, 教授 (90135484)
柴田 登志也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60162632)
前谷 洋爾 京都大学, 医学研究科, 助手 (30324619)
松本 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359834)
|
Keywords | 放射線 / 臨床 / 画像診断 / 移植・再生医療 / 糖尿病 |
Research Abstract |
3テスラ超高磁場MRI装置(Siemens社製Trio)を使用し、まず健常ボランティアにおける膵臓のMR1H-spectroscopy(H-MRS)撮像を試みた。MRの撮像シークエンスは、PRESSである。マルチボクセル法による撮像も試みたが十分な信号が得られず、膵臓におけるH-MRSの撮像シークエンスとしては水抑制を併用したシングルボクセル法を採用した。膵臓のH-MRSをいくつかの条件で撮像した結果、至適撮像条件は、TR/TE=1500/30msec.、撮像加算回数12回、FA 90 degree、ボクセルサイズ15mmX15mmX15mm、バンド幅1200Hz、水抑制バンド幅 50Hzで、この条件で呼吸停止が可能な時間内(24秒)での撮像が可能であった。次に16名の男女健常ボランティアにて、上記の撮像条件でH-MRSを撮影、得られたH-MRSを既存の解析ソフトで評価した。0-8ppm間で得られたピークは3つで、6名全例において脂肪(1.3ppm)及びコレステロール(5.1ppm)のピークが得られた。コリン(3.2ppm)のピークは、16名4例においてのみ同定可能であった。クレアチン及びグルタミン酸のピークは、16名全例において同定できなかった。膵臓のH-MRSの撮像シークエンスにおいては、受信コイルとして表面コイルが使用できず、全身コイルを用いて撮像しているため、十分な信号が得られないことがコリンのピーグが同定しにくい原因と思われる。膵臓H-MRSの至適撮像条件はほぼ確立できたものの、十分なspectroscopyの信号を得るためには、ハード・ソフト両面における更なる検討を要すると思われた。上記結果のように、健常者における膵臓のH-MRSによる評価は現時点では困難と考え、悪性腫瘍患者でのH-MRSによる評価を試みた。肝細胞癌患者10例に上記の撮像条件でH-MRSを撮影し、全例でコリンのピークが同定可能であった。中から高分化型の肝細胞癌8例では、コリンのピーク/脂肪のピークが全例0.1以下であったのに対し、低分化型の肝細胞癌2例では0.12と0.18であった。このようにH-MRSによるコリンのピーク/脂肪のピークから、肝細胞癌の分化度が予測できる可能性が示唆され、今後その有用性が期待された。
|