2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン断層法による脳腫瘍の増殖能・悪性度診断法の確立とその臨床応用
Project/Area Number |
17591265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐賀 恒夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40273445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 則雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362486)
河嶋 秀和 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359438)
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Keywords | 脳腫瘍 / ポジトロン断層法 / チミジン誘導体 / 悪性度診断 |
Research Abstract |
本年度は、放射性薬剤(FLT)の合成不調があり、年間で11症例、12回(うち原発性脳腫瘍は10症例、11回)の検査にとどまった。研究内容を文書にて説明し、同意を得た患者にFLT約370MBqを静脈内投与、40分後より頭部の撮像(エミッションスキャン20分、トランスミッションスキャン3分)を行った。病巣部に関心領域を設定し、FLTの腫瘍集積の半定量値(SUV)を測定し、病理診断や各種画像・臨床像と比較検討した。 治療前評価の目的で行われた5例中、手術が施行された3例では、FLTの集積性(SUV)は病理像を反映していた。SUVが低値を示した残り2例では、手術が見送られ経過観察となったが、現時点で腫瘍の増悪傾向を認めていない。 3症例では治療前後でFLT-PET検査が施行された。治療前後で腫瘍のSUV値の低下が見られなかった2症例では、画像所見・臨床症状ともに悪化傾向が見られ、1例は再手術が施行された。一方、治療後にSUV値の低下した1症例では、臨床上も安定しており、悪化傾向を認めていない。 手術後に残存腫瘍のチェック目的に施行された2症例では、1例では、SUV値は組織学的悪性度を反映していたが、残る1例では、腫瘍の存在した部位にFLTの比較的高い集積が見られたものの、その後腫瘍の増大を認めず、術後変化に集積したものと考えられた。手術侵襲に伴う血液・脳関門の破綻や炎症性変化がFLT集積に影響を及ぼしているものと思われた。 症例数が不十分であるが、FLT-PETにより腫瘍の悪性度、治療に対する反応といった脳腫瘍の性状診断に有用な情報が得られると期待される。引き続き症例を増やしていくとともに、FLT-PET画像を治療計画に応用すること、FLTの集積性と長期予後との関連の検討を行う予定である。
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