2007 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いたエストロゲン受容体陽性腫瘍の治療個別化に関する研究
Project/Area Number |
17591280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 恒一郎 Kyushu University, 大学病院, 医員 (80403947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 雅之 九州大学, 医学部保健学科, 教授 (40240907)
阿部 光一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (00380387)
磯田 拓郎 九州大学, 大学病院, 医員 (90452747)
塩山 善之 九州大学, 大学病院, 助教 (10323304)
本田 浩 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90145433)
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Keywords | 放射線 / 癌 / PET / FES / 治療個別化 |
Research Abstract |
1.今年度は、治療前の悪性腫瘍3症例に対し、FES-PETを施行し全身の病巣のエストロゲン受容体の発現を検索するとともに、原発巣のエストロゲン受容体発現、FDG-PETによる糖代謝との関連、治療効果予測、予後などとの関連を検討した。 2.3例とも再発乳がん症例であり、文書による同意を得たのちに、F-18 FES 185MBqを静脈投与し、60分後より撮影を行った。 3.2症例では原発巣のエストロゲン受容体発現が陽性であることを確認された。1症例は初発が30年以上前であり、原発巣の受容体発現の確認はできなかったが、再発病巣の一部の生検では陽性であったことが確認されており、原発巣も陽性であるたと推定された。 4.症例1は脳転移・骨転移であり、FES集積が認められたのは、脳転移のみであった。治療法として放射線治療・ホルモン療法が併用された。 5.症例2は骨・リンパ節に多発転移を認めた症例であり、病巣にFDG集積は認めるものの、FES集積が認められなかった。ホルモン療法が施行されたが、6か月後に骨転移から骨髄癌腫症に進展し、ホルモン治療の効果は良好でなかった。 6.症例3は、骨、皮膚、リンパ節転移を認めた症例であり、いずれの転移巣もFDG集積、FES集積が認められた。ホルモン治療が施行され、約6か月後には乳癌の腫瘍マーカーであるST439が、ほぼ正常化した。 7.症例1および症例2より、原発巣のエスロトゲン受容体発現が陽性であっても、転移巣が必ずしも陽性とはならないこと、多発転移がある場合は、各々の病巣で発現が異なる例があることが、示された。 8.症例2および症例3より、FDG集積ではなく、FES集積の有無が、ホルモン治療効果と関連することが示された。 9.原発巣のエストロゲン受容体発現や、再発病巣の糖代謝よりも、再発病巣のエスロトゲン受容体発現が、ホルモン治療の効果予測や予後を推定する上で、有用な情報を与える可能性が示唆された。ただし、症例数が少なく、今後は症例数を重ねた検討が必要である。10.
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