2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線抵抗性関連遺伝子bc1-2,HIFを標的としたsiRNAの放射線増感効果
Project/Area Number |
17591285
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大村 素子 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70244506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 佳宏 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助手 (80347301)
井上 登美夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (80134295)
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Keywords | 放射線増感剤 / si-RNA / スフェロイド / HIF / VEGF / bcl-2 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍細胞の放射線抵抗性に関わる遺伝子発現を、新しい遺伝子制御技術siRNAを用いて抑制することによって、放射線抵抗性を克服し、抗腫瘍効果を増強できるかどうか、を調べる。腫瘍細胞の放射線抵抗性の原因として、低酸素環境や、放射線照射後に誘導されるアポトーシスに関わる遺伝子異常が報告されている。我々は、低酸素下で発現が誘導されるhypoxia-inducible factor HIFおよび血管内皮増殖因子VEGFと、アポトーシス抑制機能をもつbcl-2を標的遺伝子とした。本研究では炭層培養腫瘍細胞とともに、多細胞固形腫瘍もでる、spheroid(直径数百μmの細胞塊)を用いる、これは細胞周期分布や接着因子の発現等,腫瘍細胞が生体内で立体構造をもったときの特性を備える。 研究実績1 単層培養細胞を用いた実験 実験には肺扁平上皮癌細胞SQ5を使用した。定量的PCRおよびウエスタンブロット法で上記遺伝子の発現を確認、定量した。次にHIFおよびVEGF siRNAを上記細胞に導入し、発現抑制を定量的PCR法で測定し、実験条件を確立した。上記siRNAによる放射線増感効果をコロニー法で測定した。定常状態ではsiRNAによる放射線増感効果は明らかではなかったが、これは定常状態ではHIFが発現していないためと考えた。そこで、細胞を6時間低酸素処理をした状態、つまりHIFを十分に発現させた状態で実験を行ったところ、HIFsiRNAによる放射線増感効果が認められた。HIFが低酸素下で放射線感受性に関わっていることが明らかになった。 2spheroidを用いた実験 上記SQ5細胞を用いて、spheroidを作成した。上記遺伝子発現について定量的PCRおよびウエスタンブロット法で確認した。siRNAをspheroidに直接導入する条件を確立するために、蛍光標識コントロールsiRNAを用い、flowcytometryの細胞への導入効率を測定する実験を行った。単層培養細胞と同じ条件では、spheroid細胞への導入効率は低かったため、reverse transfection法を用い、細胞にsiRNAを導入してからspheroidの作成したところ、各遺伝子の発現抑制が確認された。HIFsiRNAは定常状態、および低酸素下においても明らかな放射線増感効果を示さなかった。単層培養細胞とは異なった結果となった、spheroidではHIFのタンパクレベルでの発現が定常状態および低酸素下で同程度であり、HIFの放射線感受性に関わる役割が低いことが予想された。VEGFsiRNAについて現在実験中である。
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