2005 Fiscal Year Annual Research Report
異種造影剤の同時投与による腎機能障害:正常および糖尿病性腎症ラットを用いた検討
Project/Area Number |
17591294
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
林 宏光 日本医科大学, 医学部, 助教授 (70267201)
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Keywords | iopamidol / Gd-DTPA / interaction / renal function / experimental study |
Research Abstract |
本研究に先立ち、試験液を調整した。試験には非イオン性ヨード造影剤としてIopamiron 300(主成分:iopamidol,濃度612.4mg/mL)、またガドリニウム造影剤としてMagnevist[主成分:gadopentetate dimeglumine(Gd-DTPA),濃度371.40mg/mL]を使用した。配合液は両造影剤を等量混合し、均一にして調整した。試験液の調整が再現性を持ち可能であることを確認した後、『両造影剤の同時投与が正常ラットの腎機能に及ぼす影響』について調査した。 試験方法として、ラットは雄性SDラット(8〜10週齢)を用いた。麻酔後、膀胱、右大腿動静脈、左大腿静脈にカニュレーションし、左大腿静脈より乳酸リンゲル液で輸液した。輸液開始3時間後に膀胱カニューレから採尿した。採尿30分後に、右大腿静脈のカニューレから被験液を投与し、被験液投与開始15分、15〜30分、30〜60分、60〜90分、90〜120分の尿を採取、また被験液の投与前と投与7.5分後、105分後に血液を採取した。ここで被験液はGd-DTPAおよびiopamidolを1:5の割合で混合・調整し、12mL/kgで投与した(Gd-DTPA 1mmol/kg, iopamidol 3gI/kgに相当)。対照群には容量対照として生理食塩水投与群を、また浸透圧対照として被験液と同一の浸透圧(浸透圧比:約3.9)に調整したマンニトールをそれぞれ12mL/kg投与した。採取した血液の一部をヘマトクリット測定に用い、血漿を分離した後、クレアチニン、尿素窒素、ナトリウム濃度、浸透圧を測定した。また尿は容量を測定した後、クレアチニン、ナトリウム濃度、浸透圧を測定した。これらの測定結果から、クレアチニンクリアランス、ナトリウム排泄率、自由水クリアランスを算出した。 試験の結果、ヘマトクリット値は全披験液群で投与直後に有意に低下した。しかし105分後には投与前値に回復した。尿量はマンニトール群、造影剤群で有意に上昇した。血中クレアチニンは生食群で上昇したが、他群では有意な変化を認めなかった。尿素窒素は生食群で低下したが、他群では有意な変化を認めなかった。クレアチニンクリアランスは造影剤群で一過性に有意な上昇を認めたが低下は認めず、3群間で有意差は認めなかった。ナトリウム排泄率はマンニトール群、造影剤群で一過性の有意な上昇を認めたが回復した。自由水クリアランスは3群共に投与直後に低下し、その後回復した。
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