2005 Fiscal Year Annual Research Report
18F-フルオロチミジン(FLT)-を用いたPEによる頭頸部悪性腫瘍の予後予測
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17591315
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
坂本 攝 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所・分子イメージング研究グループ, 主任研究員 (40344402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 裕士 京都大学, 大学院・医学研究科先端領域融合医学研究機構, 助手(特任) (20360844)
福島 和人 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所・分子イメージング研究グループ, 主任研究員 (90393347)
富永 英之 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所・分子イメージング研究グループ, 研究員 (00393348)
松本 圭一 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所・分子イメージング研究グループ, 研究員 (60393344)
千田 道雄 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所・分子イメージング研究グループ, グループリーダー (00216558)
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Keywords | FDG / FLT / 頭頚部腫瘍 / 放射線治療 / 予後 |
Research Abstract |
頭頚部腫瘍などの悪性腫瘍は切除困難であることもあり、治療効果を保ちながらの機能温存に放射線療法が期待される。治療効果判定のために従来からのMRIやCTの形態画像より、機能画像として期待されるポジトロン放出断層画像(PET)のうちF18-フルオロデオキシグルコース(FDG)とF18-フルオロチミジン(FLT)を比較した。複数存在するF18-フルオロチミジンの合成方法は、先に合成収率が最も高く安定的に合成できることが確認されているMartinらの方法を引き続き採用した。頭頚部腫瘍などの悪性腫瘍患者での放射線治療前と治療後に、FDG,FLTの両方のトレーサを用いたPETを行い、放射線治療の前後で視覚的評価やStandardized uptake value(SUV)の変化等にて検討を行った。 FDG-PETで腫瘍への集積が治療前に比し放射線療法後では増加や集積範囲が拡大したのに対し、FLT-PETでは集積度が治療後に低下するという乖離が認められた症例を経験した。FDGは炎症細胞にも集積することが知られており、FDG-PETでの集積度は必ずしも腫瘍の活動性のみを反映せず、放射線による腫瘍内の炎症により修飾されている可能性があると考えられた。これに対し細胞増殖を画像化できるPET薬剤であるFLT-PETで治療に伴い、集積が低下していることは、より鋭敏に抗腫瘍効果を反映し治療効果の判定のためのPETトレーサとして期待される知見を得た。ただし、治療後の経過観察期間が短い例が多く、真の有用性や増殖能と予後の関連を論ずるには尚早と考えられる。今後症例数を増やし、臨床上の腫瘍制御率と合わせて検討していく必要がある。また、放射線照射野内に骨髄が含まれた例で、FDGに比しFLT集積が顕著に低下した症例を認め、FLTの方が鋭敏に骨髄の増殖能低下を反映すると考えられたのも、重要な知見である。
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