2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子を導入したマウス樹状細胞の投与後体内動態と腫瘍免疫誘導効果
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17591323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片野 尚子 東京大学, 医科学研究所・研究拠点形成特任教員, 特任助手 (50376620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / 遺伝子 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / トランスレーショナル・リサーチ |
Research Abstract |
治療用サイトカインを導入した樹状細胞(DC)は癌免疫療法における有望な選択の1つと考えられているが、その臨床応用には安全性に対する検討が必要である。特に生体内に投与されたDCがどのような挙動を示すかは十分に解析されていない。そこで、マウスを用いて投与後のDCの体内動態を追跡するために目的遺伝子産物の産生量とベクター遺伝子量の点から測定するシステムを構築することを目的として、治療遺伝子発現ベクターの調製、治療遺伝子導入樹状細胞の調製ならびに、その特性評価を行った。 治療遺伝子は抗腫瘍免疫反応を誘導するサイトカインとして注目されているマウスInterleukin-12(mIL-12)を選択した。この遺伝子をDCに導入するベクターとして分化・未分化細胞を標的とすることができるアデノウイルスベクターを選択した。まず、CMVプロモーターにマウスIL-12cDNA(mp40-IRES-mp35)を結合した遺伝子発現カセットをコスミドベクター;pAxcwに挿入し、相同組換えによりE1領域欠損非増殖型の組換えアデノウイルスベクター;Ad-mIL-12を調製した。一方、マウス大腿骨から採取した骨髄細胞をマウスGM-CSF存在下にて培養し、マウス未成熟樹状細胞(m-iDC)を誘導した。このm-iDCを含む調製細胞にAd-mIL-12を遠心操作のもと感染させ、感染48時間後の細胞培養上清中にIL-12が産生されていることを確認した。さらにマウス脾臓リンパ球由来幼若芽球を用いてアデノウイルス由来IL-12の生物学的活性をmIFN-γの産生で評価することができた。調製した遺伝子導入樹状細胞が体内動態の検討に使用可能であることが確認された。現在は調製細胞に含まれるm-iDC比率をより高めるための調製方法、ならびにアデノウイルスベクター量を直接測定するためリアルタイムPCRの系を検討中である。
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