2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591335
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上村 健一郎 広島大学, 病院, 助手 (60379873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 義昭 広島大学, 病院・講師 (10263683)
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Keywords | 肝再生 / 膵島移植 / 生着促進 / 増殖因子 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
移植膵島の生着率の向上を目指して、移植の場である肝の再生能力に注目し、同系ラット経門脈的膵島移植モデルで、再生肝が膵島生着に与える影響を検証した。肝再生環境下の経門脈的1ドナー膵島移植の効果は、2ドナー移植に匹敵するものであり、生着膵島の免疫組織学的検討では、移植膵島のstable engraftmentと膵島細胞のhypertrophyの所見が認められ、その機序として、再生肝の増殖因子、グラフト傷害因子の抑制、血管新生促進因子の関与が示唆された。この生着促進現象の機序を、マイクロアレイを用いた網羅的解析により解明することを目的とした。 F344ラットを膵島移植のdonorおよびrecipientに使用、recipientはstreptozotocinにて糖尿病を誘導し、70%肝部分切除後に経門脈的に1 donor膵島移植する群(肝切移植群)と、肝切除せずに通常の1 donor膵島移植する群(通常移植群)を作製した。各々の群で移植後インスリン分泌能を評価し、適切な移植であることを確認し、移植後1,3,7日目にrecipientラットを犠牲死して肝を摘出した。肝を抗インスリン抗体で免疫染色した結果、生着膵島のsizeは移植後1,3日目では両群において差を認めなかったが、移植後7日目で有意に肝切移植群が増大していた。肝再生環境下の経門脈的膵島移植では、移植直後の門脈末梢に膵島が塞栓された状態では肝再生の影響を受けていないが、その後の血管新生、機能的生着の課程で肥大・増殖することが示唆された。 現在、ラットおよびマウス膵島移植モデルにて、肝切移植群と通常移植群の移植後1,3,7日目の肝から移植膵島および膵島周囲の肝組織のRNAを抽出して、ラットマイクロアレイ(Rat Genome 230 2.0 Array)およびマウスマイクロアレイ(Mouse Genome 430 2.0 Array)を用いて、増殖因子および血管新生因子を主なターゲットに遺伝子発現の解析を行っている。
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