2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤の非アポトーシス誘導の分子機構に関する研究-固形癌化学療法の新たな展開へ-
Project/Area Number |
17591336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金 隆史 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (80274132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有廣 光司 広島大学, 病院・助教授 (70232064)
田邊 和照 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (40379847)
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Keywords | アポトーシス / 非アポトーシス / オートファジー / 抗癌剤 / 癌化学療法 / 胃癌 / 乳癌 |
Research Abstract |
本年度の抗癌剤による非アポトーシス誘導に関する研究は、以下に要約される。 1.非アポトーシス誘導(オートファジー)の検出 腫瘍検体でのオートファジーの検出を容易にするために、オートファゴソームの二重膜構造成分であるLC3に特異的な抗体、抗LC3抗体を作成し、免疫組織染色法による検索を可能にした。現在最も適切な染色条件の設定を行っており、100-200倍濃度の条件で適正染色が可能であるが、血清では壊死部分との鑑別に難点があり、精製抗体での検討を進めている。 2.多剤耐性乳癌細胞におけるオートファジーの誘導 多剤耐性乳癌細胞MCF7/TH1000はP-糖蛋白の過剰発現により、抗癌剤耐性(ADM,VP-16)を獲得しておりアポトーシス抵抗性を有している。耐性克服剤ベラパミールはADMとの併用により、7日目頃からオートファジーが誘導され耐性が克服される。ADM感受性の増加はオートファジー阻害剤3-MAの添加により抑制される。乳癌耐性細胞では、アポトーシスとオートファジー誘導経路が独立して存在すると考えられ、アポトーシス経路の抑制状態ではオートファジーが誘導される。誘導機序の解析では、耐性細胞ではBcl-2,Bcl-xL,Beclin 1の恒常的な過剰発現が認められ、アポトーシス抑制の機序がオートファジー誘導に作用していると考えられる。 3.ヌードマウス可移植腫瘍におけるオートファジーの誘導 胃癌細胞MKN-45の移植腫瘍に対して、抗癌剤(TXL,CDDP,5-FU)とプロテアソーム阻害剤PS-341との併用効果を検討した。CDDP,5-FU,TXLの順に効果増強がみられ、アポトーシス誘導の増加と同時にオートファジー誘導の増加が認められた。抗癌剤効果増強におけるアポトーシスおよびオートファジー誘導経路の活性化が示唆された。現在、その分子機構の解析でNF-κB,Bcl-xL,pAktとの関連を検討している。 4.術前化学療法におけるオートファジーの誘導の意義 乳癌術前化学療法後の腫瘍縮小効果はオートファジー増加との関連が一部で示唆されているが、現在症例数を増やして検討を進めている。
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Research Products
(5 results)