2005 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB-1の制御による移植肝viability向上を目指した実験的・臨床的検討
Project/Area Number |
17591345
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河地 茂行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80234079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕智 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00348658)
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Keywords | HMGB-1 / 肝移植 / 肝虚血再灌流障害 / サイトカイン |
Research Abstract |
肝虚血再灌流障害におけるHMGB-1の役割の実験的検討を行った。ラット70%肝虚血再灌流モデル(虚血時間60分)を作成し、虚血前、再灌流後3時間、6時間、9時間、12時間、24時間に経時的に血清を採取しHMGB-1を測定した。HMGB-1の測定にはShino-test Corporationが開発したHMGB-1に対するモノクローナル抗体を用いたELISA法を使用した。その結果、HMGB-1は虚血再灌流後3時間から有意に増加し、6時間でピークを示し、再灌流後9時間まで有意な増加を続けることが判明した。GOT、GPT値は9〜12時間でピークを示しその後高値を持続し、H.E.染色による肝組織像では24時間で最も顕著な壊死像を示すことから、組織障害に先立ってHMGB-1の血清中での増加が認められることがわかった。 更に同モデルを使用し、抗HMGB-1ポリクローナル抗体を再灌流後腹腔内投与(6mg/Kg)する群Aとコントロール抗体を腹腔内投与(6mg/Kg)する群Bを作成し、再灌流後6時間、9時間、24時間で血清を採取し、HMGB-1,GOT,GPTを測定し、2群を比較検討した。その結果、再灌流後12時間までのGOT,GPTは両群で有意差を認めなかったが、抗HMGB-1抗体投与群において再灌流後24時間のGOT,GPTがコントロール群に対して有意に低下した。従来の抗サイトカイン治療や、フリーラジカルの制御による虚血再灌流障害軽減の試みが虚血前投与であったのに対し、抗RMGB-1抗体を虚血再灌流後投与しても肝障害軽減作用が認められたことは大変意義深い。 HMGB-1の免疫染色では非障害肝において肝細胞の核内に局在していたHMGB-1が、障害後は細胞質および壊死組織に分布し、また周囲の浸潤白血球にも染色され、肝組織においても虚血再灌流障害によりHMGB-1が重要な働きをしていることが示唆された。
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