2006 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血中抗原特異的メモリ-T細胞を用いた免疫療法による移植後ウイルス感染症の治療
Project/Area Number |
17591349
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 和生 東海大学, 医学部, 助教授 (50236569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 敏司 東海大学, 医学部, 講師 (10297260)
加藤 俊一 東海大学, 医学部, 教授 (70096212)
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Keywords | 臓器移植 / ウイルス感染症 / メモリーT細胞 / 養子免疫療法 / キラーT細胞 |
Research Abstract |
我々は平成17年度迄のマウスサイトメガロウイルス(MCMV)を用いた実験において、MCMVのIE抗原に対するテトラマーを作成し、抗MCMV特異的CD8-T細胞の割合を調べたところ、その頻度は肺で最も高く、全リンパ球分画の約10%に及んだ。さらに、これらテトラマー陽性細胞は活性化マーカーを有しており、細胞傷害活性を持つエフェクター型メモリーT細胞であった。さらに、エフェクターメモリーCD8-T細胞の維持にはCMV抗原は必須ではないことを明らかにした。このことは、体外で誘導、増殖させたメモリーT細胞を非感染宿主に養子移入しても十分増殖し、移植後のウイルス感染に対応できることを示唆していた(J.Immunol.印刷中)。そこで、平成18年度はこのエフェクターメモリーCD8-T細胞の養子移入による感染症の予防・治療法の基礎理論の確立を目的とした以下の実験結果を得た。 1.メモリーT細胞のin vitroでの増殖(担当:田中・野田) 肺のCMV特異的メモリーT細胞をmagnetic beadsにて採取した。これをメモリーT細胞の抗原となっているペプチド(YPHFMPTNL)で処理した樹状細胞、IL-2(ヒト、マウス由来)、IL-15(ヒト、マウス由来)存在下で共培養したが、養子免疫療法で目的とした1X10^6/マウスに相当するメモリーT細胞の増殖は得られなかった。 2.ウイルス特異的末梢メモリーT細胞による養子免疫療法に関するヒトリンパ球での実験(担当:田中・加藤) ヒト末梢血中のCMV特異的メモリーT細胞をボランティア20名より採取し、1と同様にヒトCMVペプチド抗原を発現しているヒト樹状細胞とIL-2存在下で共培養し、培養後、増殖したリンパ球の抗CMV活性をCrリリース法で調べた。その結果、末梢血中のCMV特異的メモリーT細胞の割合が高い(末梢のCD8陽性T細胞の0.2%以上)ボランティアから得たCMV特異的メモリーT細胞は培養で増殖し、養子免疫療法を行うのに十分量のCMV特異的活性型メモリーT細胞を得ることが出来た。しかし、元来CMV特異的メモリーT細胞が少ないボランティアから得られたメモリーT細胞は全く増殖しなかった。
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