2006 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期ホルモン環境を模倣した乳癌予防プロトコールの確立とその分子基盤の解明
Project/Area Number |
17591361
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 洋一郎 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60219409)
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 助手 (30368211)
杁 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
|
Keywords | Pregnancy / Estrogen / Progesterone / Rat / N-methyl-N-nitrosourea / Mammary / Cancer / Duration |
Research Abstract |
ヒトでは若年で初回満期妊娠を経験した経産婦は、未産婦に比して乳癌の発生は1/2である。経産による乳癌の抑制はマウス・ラットにおいても認められ、妊娠を模倣する短期(3週間;マウス・ラットの妊娠期間に相当)のエストロゲンとプロゲステロン(E/P)投与においても乳癌の抑制をみる。しかし、エストロゲンは乳腺あるいは乳癌細胞の増殖促進因子であり、長期E/P暴露では乳癌の危険因子となりうる可能性がある。よって、N-methyl-N-nitrosouea(mm)誘発Lewisラット乳癌に対して、≧1cm乳癌ならびに微小乳癌も含めた全乳癌の発生を指標として、長期(23週間)ならびに短期(3週間)E/P暴露群とE/P非処置群とを、mm投与後25週間にわたり観察して比較した。その結果、E/P非処置群に比して、長期ならびに短期E/P暴露群では、ともに≧1cm乳癌の抑制をみたが、E/P投与群ではMNU投与後23-25週頃よりく1cm乳癌の発生が急峻に増加し、全乳癌について比較すると、依然短期E/P暴露群では抑制をみたが、ラット当たりの乳癌発生個数は長期E/P暴露群ではE/P非処置群と差はみなかった。これら<1cmの微小乳癌がラテント癌として微小のままで留まるのか、進展して≧1cmの顕在性乳癌になるのかの同定は重要である。しかし、既報を総合すると、今回みとめた微小乳癌は、顕在性乳癌に進展する可能性が高い。よって、E/Pの短期暴露で得られた乳癌抑制能が今回の長期E/P暴露群で消失したことにより、E/Pよる乳癌抑制能は短期暴露においてのみ達成可能で、>20週E/P暴露ではE/P非処置群に比して乳癌増悪はみないものの、乳癌抑制効果が消失することが判明した。マウス乳腺発癌には多段階発癌をみることより、マウスを実験系に組み込み、前癌病変とホルモンの関係を明らかにしたい。
|