2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する腫瘍血管特異的な因子をターゲットとした新しい抗腫瘍療法の開発
Project/Area Number |
17591372
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60375631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
木村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70334208)
加藤 厚 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70344984)
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Keywords | 膵臓癌 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / リンパ管新生 / 分子標的療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は幼若血管内皮細胞に特異的に発現するマーカーであるendoglinの膵臓癌における発現を検討し、血管新生に対するその役割を解明することにより膵臓癌の新しい治療法を開発することにある。本年度は、免疫染色法によりendoglinの膵臓癌手術標本を検討することにより、その発現の特徴を解明することに主眼をおいた。 1)膵臓癌におけるendoglinの発現。 浸潤性膵管癌19例において、endoglinの発現を免疫染色法により検討した。また、血管内皮細胞のマーカーであるPlatelet endothelial cell adhesion molecule(PECAM)の発現を連続切片にて同時に検討し、両者を比較検討した。endoglinの発現は全例において癌組織内、または癌組織ごく近傍の微少血管の内皮細胞に特異的にその発現が認められた。PECAMの免疫染色と比較すると、endoglinの発現は、中膜を持つ大きな血管においては腫瘍内であっても認められず、特に癌による新生血管と推測される微少な血管にその発現が認められた。一方、近接する非癌部の膵臓組織でのendoglinの発現を検討すると、PECAMで染色される血管内皮細胞にはその発現を全く認めなかった。 2)新生リンパ管内皮細胞でのendoglinの発現 浸潤性膵管癌におけるendoglinの発現を詳細に検討することで、我々は癌組織内においてendoglinがPECAM陰性の微少な管腔構造を持つ組織にも発現していることを見いだした。PECAM陰性であることから、この管腔構造を持つ組織はリンパ管でないかと考え、リンパ管内皮細胞を特異的に染色するD2-40抗体を用い、endoglinの免疫染色の結果と検討した。すると、D2-40陽性の微少なリンパ管内皮細胞がendoglinをも共発現していることを確認した。このことは、endoglinは新生血管のみならず、腫瘍により誘導された新生リンパ管にも発現していると考えられた。以上から、endoglinは血管やリンパ管が腫瘍により誘導される際に、何らかの働きをしている可能性があり、現在、このことについて検討中である。 3)今後の予定 以上の結果をふまえ、endoglinを分子標的にすることで、新しい膵臓癌に対する治療の可能性が示され、現在はどのような方法でendoglinの作用を押さえることができるのか、また、endoglinの作用を阻害することにより抗腫瘍効果を期待できるのかにつき検討を加えている。
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Research Products
(2 results)